東北企業でオンライン採用急拡大 長短所見極め対応

来春卒業予定の大学生を対象とした採用活動が3月に本格化してから3カ月がたった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大規模な合同企業説明会は軒並み中止。代わってオンラインでの説明会、面接が急速に普及した。東北の企業はメリットとデメリットを慎重に見極めながら対応する。
 ソフトウエア開発のサイバーコム(仙台市)は、従来は全て対面だった会社説明会や面接を当面、オンラインで実施している。
 5月26日のウェブ説明会。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を通じて参加した学生約50人からは転勤や仕事での心掛けといった質問がチャット形式で寄せられ、人事担当者が一つ一つ丁寧に回答した。
 説明会の参加者は対面だった従来の倍以上に。昨年まで1回だった面接を今年は2回に増やした。前川政喜人事部長は「気軽に参加できる半面、そのまま入社が決まり、入社後に学生が『何か違う』となれば不幸だ」と指摘する。
 人材派遣業の東洋ワーク(仙台市)も、オンラインで説明会を実施。6月に本格化する選考もウェブ面接が主流になる。担当者は「全国から優秀な学生の確保を目指したい」と話す。
 説明会や1次面接にオンラインを採り入れた宮城県内の上場企業の担当者は「例年より採用に時間を使い、コミュニケーションも難しかった」と振り返る。
 酒販大手やまや(仙台市)は、オンライン説明会の参加者を各回6人に絞り、顔が見えやすい環境をつくる。説明会は従来の2週に1回から週2回以上に増やした。
 担当者は「これまで説明会を開けなかった九州など全国の学生に参加してもらえる。学生も緊張せずに話せるようだ」とメリットを強調。役員面接もオンラインで予定する。
 運送業の三八五流通(青森県八戸市)は、5月に計3回のウェブ説明会を開いた。「合同説明会よりも、会社に興味があって真剣な学生の参加が多い。県外から参加しやすいのもメリットだ」と瀬上えみ人事課長。
 一方で「ウェブではどうしても人柄が見えにくい。学生も会社の雰囲気が分からず不安だと思う」。4月末に本社で予定していた選考会は6月以降に延期しており、「直接会って話した上で採用したい」と言う。
 東北電力はホームページの新卒採用サイトで事業内容を紹介し、質問はメールなどで受け付ける。6月には初のウェブ面接を実施する。担当者は「学生の人となりを把握することは可能」と説明する。

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