河北旗争奪第30回東北地区女子サッカー選手権(東北サッカー協会、河北新報社主催)最終日は16日、宮城県利府町の県サッカー場で準決勝、決勝が行われ、決勝で仙台大(宮城)が2―0で聖和学園高(宮城)を破って初優勝した。
決勝は昨年と同じ顔合わせ。仙台大はFW伊藤早紀が全得点を挙げ、聖和学園高の2連覇を阻止した。仙台大は12月3日に始まる全日本女子選手権に東北代表として出場する。
◎3試合17得点 高い攻撃力で雪辱
仙台大が、決勝を含め3試合で計17得点と高い攻撃能力を発揮し、創部5年目で初めて頂点に立った。黒沢監督は「練習通り、サイドから崩して点を取るサッカーができた。選手も体を張り、よく頑張ってくれた」と選手をたたえた。
昨年と同じ聖和学園高(宮城)との決勝。前回は延長戦の末、惜敗しているだけに、阿部千主将は「悔しい思いをしたので、絶対に負けられない」と試合に臨んだ。
一進一退の展開となった前半23分、落合の右サイドからのセンタリングを、伊藤が右足でゴール中央に鮮やかに決め先制。後半13分にも伊藤が貴重な追加点。決勝で全得点を挙げた伊藤は「1点を取って気持ちが楽になった。うまく自分のスピードを生かすことができた」と振り返る。
11月の全日本大学女子サッカー選手権(インカレ)にも出場が決まっている。阿部千主将は「(インカレ、全国選手権の)二つの大会に出場することがことしの目標だった。強豪チームと同じピッチで戦えることが楽しみ」と気合を入れ直していた。黒沢監督も「パスの精度、守備のカバーリングなどをもう一度見直し、修正したい」と話していた。(鈴木幸紀)
◎伊藤2得点
▽決勝
仙台大(宮城)2(1―0 1―0)0 聖和学園高(宮城)
▽得点者【仙】伊藤2
【評】仙台大が決定力で上回った。前半23分、右からの折り返しを中央で待ち受けた伊藤が直接蹴り込んで先制。後半11分には左サイドを突き、阿部千、泉とつないで伊藤が右足で決めた。聖和学園高は細かいボール回しで好機をつくったが、シュートの精度を欠いた。
<聖和学園高の国井監督「経験不足」>
2連覇を逃した聖和学園高の国井監督は「大学生の相手に比べて経験不足。相手ゴール前までボールを運んでも、最後がうまくいかなかった」と話した。
惜しかったのは後半の終盤。25分、ゴール前でのワンツーから増田がシュートを放ったが、ボールは左に。34分には増田がゴール前に入れた縦のゴロのパスに2人が飛び込んだが、惜しくも合わなかった。
3年生はこれが高校最後の試合。吉村主将は「敗れはしましたが、聖和のサッカーは面白い。自分たちのスタイルを貫き来年は結果を残してほしい」と目を潤ませた。
◎8ゴールで圧勝
▽準決勝
仙台大(宮城) 8(3―1 5―0)1 羽黒高(山形)
▽得点者【仙】泉、伊藤、落合、阿部千、岩崎3、小島【羽】岩崎
【評】仙台大が8ゴールで圧勝。前半12分、泉がゴール前でDFを振り切り先制。その後も中盤を支配し、岩崎のハットトリックなど次々と得点を重ねた。羽黒高は前半16分、岩崎のヘッドで同点としたが最後までペースをつかめなかった。
<羽黒高・今井千夏主将(仙台大に大敗)>
「力の差があった。点差は開いたけれど、最後まで諦めずにやり切れたことは評価できる。練習を積んで、チーム全体のレベルアップを図って、来年は(仙台大に)リベンジしたい」
◎後半一気に3発
▽準決勝
聖和学園高(宮城) 3(0―1 3―0)1 富岡高(福島)
▽得点者【聖】三輪谷、増田、野村【富】渡辺瑞
【評】聖和学園高が後半に逆転した。0―1の後半15分、左サイドから三輪谷がドリブルで切れ込んで同点。23分には大きな展開から増田が右足で決めた。富岡高は前半4分、渡辺瑞がDF裏を突いて先制したが、後半に足が止まった。
<富岡高・大木汐主将(聖和学園高に逆転負け)>
「3位は悔しい。この10人で全国大会に出ることを目指していた。前半は相手DFの裏を何度も取ることができ、狙い通りのサッカーができていた。後半は運動量が落ちてしまった」