東北夏祭り、コロナ前比で人出半減 商機求めプレミアム観覧席、テイクアウト対応も

日銀の青森、仙台、秋田、福島各支店は、今年の東北の主な夏祭りの人出をまとめた。16の祭りの合計は816万人で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年から49・5%減った。多くの祭りが20、21年の開催中止を経て規模を縮小。ウィズコロナ下で消費者行動にも変化があり、有料でも高付加価値のサービスが人気を集めるなど新たな商機を探る動きが広がった。

 各地の人出は表の通り。仙台七夕まつりだけが19年から横ばいで、他の15の祭りはいずれも減少した。19年比で減少幅が大きかったのは、92・6%減の八戸三社大祭、84・0%減の五所川原立佞武多(たちねぶた)、83・9%減の北上・みちのく芸能まつり、80・0%減の郡山うねめまつりなど。

 減少幅が小さかったのは、8・9%減の福島わらじまつり、18・6%減の花輪ばやし(鹿角市)、20・0%減の全国花火競技大会(大仙市)、36・8%減の相馬野馬追だった。

 夏祭り関連ビジネスの動向についても聞き取りを実施し、傾向を分析した。団体旅行より個人旅行を選ぶ傾向が一段と強まり、個人客やファミリー向けの商品・サービスの売れ行きは好調だった。宿泊施設からは「客単価の高い個人客が増加し、利益率はコロナ禍前より上昇した」との声も出た。

 従来型のビジネスモデルを転換する新たな動きも目立ち、日銀は「有料でも『ゆったりと夏祭りを楽しみたい』という潜在的なニーズがある」と指摘した。具体的な例として、広めのスペースで地元銘酒や食事を味わいながら祭りを楽しめる「プレミアム観覧席」(青森県の企業)は高額にもかかわらず完売したという。

 物販・土産物販売では、従来の箱売りではなく、ばらや少量パックでの販売を充実させる動きがあった。飲食店の中には、滞在先のホテルで食べられるようテイクアウト用のメニューを観光客向けに提供し、新たな需要を掘り起こしてコロナ禍前並みの売り上げを確保したケースもあった。

 調査は各支店が祭りの運営本部や旅行代理店、旅館、商業施設などの関連業界にヒアリングした。竹内淳仙台支店長は「祭りの伝統を継承しながら、観光産業として付加価値を高め、収益を生む新たな工夫をしていくことも大切だ」と指摘する。

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