東北夏祭り、人出回復まだ コロナ禍前比10カ所減 観光消費単価アップ注力も 日銀各支店まとめ

 日銀の青森、仙台、秋田、福島各支店は、今年の東北の主な夏祭りの人出をまとめた。前年と比較できる14カ所の祭りのうち10カ所で増加。首都圏など遠方から訪れた観光客が多かった。課題とされる観光消費単価のアップ(マネタイズ)も積極的に取り組む傾向が見られた。新型コロナウイルス5類移行から2度目の夏だったが、人出がコロナ禍前の2019年の水準にいまだ届いていない祭りがほとんどだった。

 各祭りの人出は表の通り。23年比で増加数が大きかったのは、14万9000人増の八戸三社大祭、12万人増の秋田竿燈まつりなどだった。曜日の並びや天候の影響で4カ所の祭りは減少した。23万3000人減の仙台七夕まつり、10万人減の山形花笠まつりなどで落ち込みが目立った。

 19年と比較可能な11カ所のうち八戸三社大祭を除く10カ所で同年を下回った。

 各地の業者などへの聞き取りでは「首都圏や関西など遠方からの観光客が多く見られた」「アジア圏(台湾や韓国)に加えて欧米圏からの個人客が増えた」といった声が寄せられた。

 東北は観光客の消費単価が全国平均を下回るが、新たな有料サービスを設けるなどし、事業者の収益性と観光客の満足度を両立させる試みが見られた。

 各祭り運営本部で有料観覧席のセット内容や価格帯を多様化させる傾向があったほか、祭り関連の限定グッズが作れる有料ワークショップ、振り付け指導と衣装レンタルがセットになったパレード参加の有料サービスが好評だった。

 各祭りで環境への配慮も目立った。協賛企業がカーボンクレジット(温室効果ガス削減量)を購入し、発電機などからの二酸化炭素(CO2)排出量をオフセット(相殺)する事例もあった。

 岡山和裕仙台支店長は「東北で夏祭りはキラーコンテンツ。波及効果をどれだけ大きくするかが課題だ。祭りの魅力や収益性、持続可能性を向上させる動きが見られ、心強く感じた」と総括した。

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