東北大、国際卓越研究大の認定候補に 10兆円ファンドから支援

 東北大は「未来を変革する社会価値の創造」など公約3件を掲げ、全方位の国際化など六つの目標を達成するために19の戦略を提示した。指標や中間目標も明確にし、体系的な計画にまとめたことが評価された。

 特に、東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)に整備中の次世代放射光施設「ナノテラス」を核とした戦略を重点化。産学官の結集や災害科学など世界的な研究に取り組む姿勢を示し、革新的な技術の創造、新たな投資の呼び込みなどをアピールした。

 教授をトップとする研究体制を改め、准教授や助教らが独立した環境で研究に挑戦できる体系に移行する方針も称賛された。総長と教学、事業財務、包括的国際化の各担当役員の4役体制を敷き、合議制の「法人総合戦略会議」を創設するといった機構改革の理念の高さも定評を得た。

 他方、深掘りや見直しが必要な戦略があるほか、海外からの研究者や学生の受け入れ態勢は構築途上との指摘を受けた。

 認定校となるには(1)国際的に卓越した研究実績(2)教員組織や研究環境など体制の充実(3)研究継続のための確かな財政基盤-など七つの基準を満たす必要がある。東北大は今後、体制強化計画の認可に向けて有識者会議の支援を受け、活力ある研究体制の確立や学部変革といった6項目の完成度を高める。総合戦略会議の設置に向けたガバナンス体制の変更準備も進める。

 卓越大の初回公募には全国の国立、私立の計10校が申請した。国内外の研究者ら10人でつくる有識者会議は4月以降、計12回の会合を開いてヒアリングなどを行い、東北大、東大、京大の3校は現地調査も実施。8月30日、全会一致で東北大を候補に決めた。

 政府が設けた基金による支援は24年度から最長25年とする計画。運用益から、1校当たり年間数百億円を配分する。24年度中に2次申請の公募を行い、段階的に数校へと増やす方針。

 永岡桂子文科相は閣議後記者会見で「多様で重みのある研究大学群の形成に向けて、各種事業や規制緩和を通じて各大学の挑戦を後押ししたい」と述べた。

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