東北大は17日、医学分野をけん引する人材を育成する「医学イノベーション研究所」を仙台市青葉区の星陵キャンパスに設置すると発表した。開設は2025年4月1日。若手臨床医が研究に注力できる環境を整備し、挑戦的な取り組みを後押しする。臨床医のみを対象にした研究拠点の設置は国内で初めてという。
所長には同大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授が就く。今後、学位取得後10年程度までの医師、歯科医師を国際公募し、原則助教として任期6年で採用。5年後をめどに30人以上の臨床医を集める。費用には文部科学省の「国際卓越研究大学」の認定による助成金を充てる。
片桐教授によると、大学病院の臨床医は診療や後進教育の負担が大きく、研究に時間を割きにくいことが課題となっていた。研究所の若手臨床医は診療などの業務を最低限に抑え、研究に専念する時間を確保する。
研究成果の実用化に詳しい米ハーバード大のアイザック・コールバーグ副学長らをアドバイザーとして迎えるなど、研究費獲得や臨床試験を支援する体制も構築。診断や治療の現場での応用を推進する。
27年の完成を目指し、星陵キャンパスに整備するライフサイエンスラボ棟に入居予定。当面は、東北大病院内の空室などを研究室として活用する。研究者が輝く拠点となることを目指し、呼称は「SiRIUS(シリウス)」とした。
この日、東京で記者会見した片桐教授は「医学の発展には、医療現場のニーズを熟知した研究者が必要。自身のアイデアを試して研究を発展させてほしい」と期待。冨永悌二総長は「若手研究者に活躍してもらえるよう、大学を挙げてバックアップしたい」と語った。