東北大にメディカル・メガバンク発足、先端医療で被災地支援

 東北大は4日、東日本大震災で被災した住民らの全遺伝情報(ゲノム)や診療情報をデータベース化し、新薬開発などに役立てる「東北メディカル・メガバンク機構」を発足させたと発表した。岩手、宮城両県の計15万人を対象に遺伝情報を調査解析し、血液など生体材料を保存するバイオバンクも設ける。被災地で増える病気や遺伝子変異などを調べ、次世代医療に生かす。
 機構は震災を受け、最先端の研究を復興につなげようと2月1日付で設立された。ゲノム解析、情報通信技術(ICT)を使った医療情報ネットワーク構築などに取り組む。10万人を超えるゲノム情報を集めるバイオバンクは国内2例目。
 10年間の事業期間中は岩手医科大と連携。7万人分の3世代追跡調査と、8万人分の住民調査を実施し、血液や情報を集める。生体材料は提供者の承諾を得るほか、個人情報は厳重に管理する。
 機構のスタッフは研究者ら約40人で、医学部内に仮事務所を設けた。若手医師を地域病院に派遣し、医師不足を下支えする仕組みもつくる。
 総事業費は約500億円。2011年度を含む2年間で国から計214億円の補助を受ける予定。
 記者会見した機構長の山本雅之大学院医学系研究科教授は「バイオバンクという世界最先端の研究の一翼を担う。拠点開設を通じて東北に医療人を集め、医師不足の解消にも努める」と話した。

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