東北大発スタートアップ「コラボメーカー」、研究室シェア事業拡大へ 大阪の機器卸と協業

研究室や実験機器のシェアリングサービスを展開する東北大発スタートアップ「Co-LABO MAKER(コラボメーカー)」(仙台市)は11日、理化学機器卸「アズワン」(大阪市)との協業を始めた。借り主の要望に合わせ、機動的な研究開発を支援する。

 コラボメーカーは2017年創業。ウェブ上のプラットフォームで、大学や研究機関の空いている研究設備の貸し借りを仲介する。利用者は自社に設備や技術がなくても、短期間、低予算で研究開発を進めることができる。現時点で研究室300件超、機器5000件超の登録がある。

 アズワンは全国の研究室向けに900万点を超える商品を扱い、機器レンタルにも力を入れる。借り主はコラボメーカーで借りた研究室に、アズワンから機器や消耗品を仕入れられる。

 コラボメーカーは事業拡大のため、アズワンとベンチャーキャピタル4社を引受先とする第三者割当増資を実施し、1億9000万円を調達した。

「研究開発のインフラ目指し、研究室登録を5000件に」古谷優貴代表に聞く

 [ふるや・ゆうき] 東北大大学院工学研究科修了。2011年、昭和電工(現レゾナック)入社。パワー半導体の研究開発や新規事業に参画する。17年4月、コラボメーカーを起業した。盛岡市出身。37歳。

 コラボメーカーの古谷優貴代表にアズワンとの協業の狙いや事業拡大の展望、スタートアップを増やすための支援策などを聞いた。
(東京支社・古賀佑美)

 -協業に至った経緯は。

 「研究室を借りる側の要望と、貸す側の設備や場所をぴったり合わせるのは難しい。現状の成約率は2割程度。アズワンから足りない機器をレンタルしたり、購入したりすることができれば利用者の使い勝手が良くなり、オールインワンでサービスを提供できる」

 「アズワンの商品カタログは全国の生命科学や薬学、材料の研究室に必ずあると言っていい。自分も親しみを感じていた。幅広い顧客と接点が持てるし、会社の信用も上がる」

 -今後の目標は。

 「世界的に創薬部門の研究開発はアウトソース化が進む。ベンチャーの参入が増え、研究室のレンタル市場は伸びるだろう。研究開発のインフラとしての役割を目指し、2025年に研究室の登録を5000件まで増やしたい。貸す側の大学は資金が獲得でき、民間の研究者が身近にいることで学生の刺激になることを伝えたい」

 -契約は関東が多い中、仙台に本社を置く理由は。

 「東京はスタートアップが多く、埋もれやすい。仙台では目立つ存在として応援してもらえる。東京と仙台は新幹線で移動が簡単なのも大きい。今後、東北でも研究室の登録や研究者も増やしたい。東北大青葉山新キャンパスに整備中の次世代型放射光施設『ナノテラス』の本格稼働も、その後押しになる」

 -東北でスタートアップをどう増やすか。

 「10社のベンチャーを生んだ東北大のある研究室について調査中だ。人間関係に着目すると、常に起業した人が身近にいる状態が最も効果的。地域の中で、起業家や起業したい人が集まるコミュニティーづくりが大切。交わりを増やせば自然に『自分もやればできる』と信じられるようになる」

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