東北大発ベンチャー、小型衛星エンジン開発へ 安全性と高い推進力

地球に帰還する小型人工衛星の開発に取り組む東北大発ベンチャーのエレベーションスペース(仙台市)は、安全性と高い推進力を両立した新型ハイブリッドエンジンの開発に乗り出した。東北大学際科学フロンティア研究所の斎藤勇士助教(宇宙推進工学)と共同研究する。高推進力を実現すれば、従来の小型衛星には難しかった地球への帰還が可能になるという。
 同社によると、人工衛星が地球に帰還するには、衛星軌道から離脱するための高い推進力が必要。通常の小型衛星が採用する電気エンジンは推進力が小さい。高推進力を持つ大型の衛星は固体または液体の燃料を用いたエンジンを使うが、安全性を維持した上での小型化には限界があった。
 共同研究では、危険物でないプラスチックなどの固体燃料と、詳細は非公表の液体か気体を使うハイブリッド方式のエンジンの開発を目指す。一般的な電気式の推力数ニュートンに対し、ハイブリッド式は数百ニュートン級になるという。
 同社は今年2月設立。2023年に大気圏で燃え尽きず地球に帰還できる小型人工衛星の実証機打ち上げを目指す。将来は民間企業などを対象に、宇宙実験などが可能なプラットフォームの提供を計画する。
 小林稜平最高経営責任者(CEO)は「共同研究で開発するエンジンは、小型衛星の移動性能を革新的に高め、新たな利用分野の開拓につながると確信している」と話した。

タイトルとURLをコピーしました