東北学院大、来春五橋に移転 キャンパス周辺で賃貸物件争奪戦

東北学院大が来年4月、泉キャンパス(仙台市泉区)と多賀城キャンパス(多賀城市)を新設の五橋キャンパス(若林区)に移転集約する計画を受け、在学生の住まい探しが本格化している。市中心部の五橋地区は利便性の良さから需要が多く、手頃な物件は既に争奪戦の様相だ。不動産関係者は「年明け以降はさらに激化する」とみている。

社会人にも人気の地域 業者「暮らし方考えて判断を」

 「やっと見つかった。仕送りが大変だが仕方ない。家族で倹約するしかない」

 泉キャンパスに通う2年生男子の母親(53)=埼玉県=は疲れた表情で漏らした。春に始めた五橋地区の物件探しは10月まで約半年かかった。新年度に入居する民間学生寮の家賃は現在のアパートより月1万円以上高く、共益費など臨時支出も計約40万円に上った。

 当初から「物件は多くない」と聞いていた。不動産業者のサイトを見ても築年数が古かったり、予算が合わなかったり。9月には不動産業者を回ったが、いい物件に巡り合えなかった。

 東北学院大は泉キャンパスに約5000人、多賀城キャンパスに約1800人の学生が在籍。自宅通いや現在の住居に住み続ける学生を除いても「数百人規模の学生大移動が起きる」(不動産会社幹部)という。

 五橋キャンパスの約700メートル南西にある土樋キャンパス(青葉区)には文系学部3、4年生約3700人がいる。五橋地区は他の大学の学生や社会人からも人気が高く、物件探しが難航するのも無理はなかった。

 平和住宅情報センター(泉区)は9~11月、学院大生協と連携して学内に仲介窓口を開設。既に在学生計約280人が借り換えた。多くの保護者が望む家賃相場5万円以内を超え、契約したケースが少なくない。社会人向けの7万円以上の物件を選んだ学生もいた。

 複数の不動産業者によると、五橋地区には近年、集合住宅が建設されてはいるものの、数に限りがあり建築費高騰などの影響も相まって学生が手を出しにくい価格帯が多い。青葉区の業者は「福島や山形など隣県の学生は自宅から通うケースも出てくる」とみる。

 市交通局の割安な通学定期券「学都仙台 市バス・地下鉄フリーパス」の利用を前提に、市地下鉄沿線に範囲を広げる学生も増えている。

 来春入学の新1年生の物件探しは、さらに難航が予想される。平和住宅情報センターの佐々木哲也・店舗統括は「仲介に長年携わってきたが、まれに見る物件不足になる」と指摘。「五橋、中心部にこだわり過ぎないのも手。自分の暮らし方をイメージし、冷静に物件を見定めてほしい」と話す。

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