仙台市に今春移転した東北学院大多賀城キャンパス(宮城県多賀城市)の跡地について、大学を運営する学校法人東北学院(仙台市青葉区)が住宅メーカー大手ミサワホーム(東京、PLTグループ)、子会社の東北ミサワホーム(青葉区)と売買契約を結んだことが4日、分かった。住宅や商業施設などを組み合わせた一体的なまちづくりが進められる方針。多賀城市中心部の広大な一等地で、投資総額が数百億円規模の再開発計画が始動する。
[東北学院大のキャンパス移転集約] 多賀城キャンパスは1962年、工学部の校舎として開設。総合大学を目指して2023年度、泉キャンパス(仙台市泉区)とともに新設の五橋キャンパス(若林区)に移転、集約された。近くの土樋キャンパス(青葉区)と合わせ「一つのキャンパス」として運営。学生約1万1000人が仙台市中心部で学ぶ。泉キャンパスの体育施設は学生の課外活動で活用する方針。
マンションやスーパー、医療施設など構想
売買契約は4日、仙台市内で締結された。対象面積は約11万4000平方メートルで、取引額は非公表。関係者によると、東北学院が昨年実施した入札に応募した複数の企業の中から、ミサワホームが優先交渉権を獲得。昨秋から交渉を重ね、合意に至ったという。
ミサワホームによると、現時点の構想は(1)一戸建て住宅や分譲マンション(2)スーパー、カフェ、レストランなどの商業施設(3)保育施設(4)クリニックなどの医療施設(5)フィットネスなどのスポーツ施設-を配置する。
跡地には現在も大学施設が残っており、解体後に再開発に着手するとみられる。着工や完成の時期は検討中。ミサワホーム街づくり事業本部の担当者は「健康増進やにぎわい創出、生活利便性、防災機能などを兼ね備えた『多世代に魅力的な地域拠点』の整備に取り組みたい」と話した。
学校法人東北学院は「示された提案が、多賀城市のまちづくりに寄与できる事業計画で、キャンパス跡地を有効活用していただけると判断し、売却を決定した」とコメントした。
跡地はJR仙石線多賀城駅から約500メートル北にあり、近くに市役所や文化施設が立ち並ぶ。現行の市都市計画では「第1種中高層住居専用地域」に指定されていて、床面積500平方メートルを超える店舗や飲食店は建てられない。
市は用途地域の変更も想定し、来年4月改定の都市計画マスタープランで周辺地域を「まちづくりが進むエリア」と位置付け、柔軟な対応を図る方針。
深谷晃祐市長は「暮らしの便利さはもちろん、経済、文化などあらゆる面で市の活力を生み出し、品格と秩序のある場所であってほしい」と要望。連携協定を締結し、まちづくりを協働で進める意向を示した。