東北工大「一番町ロビー」12月で閉鎖 03年開設、ビル老朽化などで契約継続断念

作品展や大学の公開講座が開かれ、市民の交流の場として親しまれてきた東北工業大一番町ロビー(仙台市青葉区一番町)が12月に閉鎖することが25日、分かった。大学はロビーの代わりとなる新たな市中心部のサテライトキャンパス設置を検討している。

代替サテライトキャンパス設置を検討

 大学によると、入居するTMビル(9階)の老朽化に加え、賃料負担も重く契約継続を断念した。契約期間は12月31日まで。展示利用は12月中旬で終了する。新拠点は市街地の別の場所に、来年4月をめどに設置する見込み。ギャラリー機能は残す一方で、大学関係者以外に貸し出すスペースを設けるかは未定という。

 一番町ロビーは2003年10月、ビル内の空き店舗などに開設。現在は1、2階を利用し、1階は教員や学生の研究成果発表や市民の作品展に使えるギャラリー、2階には大学関係者の講演会やシンポジウムを開くホールがある。これまで計1000回以上のイベントが開かれ、延べ約20万人が利用した。予約は12月までほぼ埋まっている。

 利用者からは貴重な街中のギャラリーの閉鎖を惜しむ声が上がる。毎年写真展を開いていた「OM SYSTEMズイコークラブ」仙台支部長の河野彰さん(75)は「ふらっと入れる便利な立地だった。市内には小さなグループで使いやすいギャラリーが他になく、今後どこで展示したらいいのか」と困惑する。

 風景画などを展示してきた光彩会(仙台市)を主宰する柴田治さん(59)は「文化都市を掲げる仙台で、市民の日常的な発表の場が少なくなっていくのは残念。大学の新しい拠点も地域に密着した場所にしてほしい」と要望する。

タイトルとURLをコピーしました