東北景気3期ぶり上方修正 日銀さくらリポート

 日銀仙台支店は15日、東北の景気について「生産が下げ止まり、回復しつつある」とする4月の地域経済報告(さくらリポート)をまとめ、前回1月の基調判断を上方修正した。判断の引き上げは昨年7月以来、3四半期(9カ月)ぶり。東日本大震災からの復旧・復興に向けた公共事業、被災企業の設備投資が増加していることを踏まえた。
 15日の日銀支店長会議で報告した。生産は、前回の「幾分低下している」から「下げ止まっている」に改善した。自動車など輸送機械が高い水準を維持しているのに加え、設備復旧に伴って食料品が緩やかに上昇しているのを勘案した。
 雇用情勢についても、建設業を中心に求人増が続いているとして「改善している」と判断。前回の「改善の動きが一服している」を引き上げた。
 個人消費は商品によって好不調が交錯している現状を踏まえ、「底堅く推移している」との表現を維持。設備投資は「増加している」、住宅投資は「震災に伴う建て替え需要から増加」と、それぞれ前回判断を据え置いた。
 金融緩和などを柱とする安倍政権の経済政策「アベノミクス」を受け、国内の景況感に好転の兆しが見えている。ただ東北の実体経済への影響が鮮明になるには「政策効果が中小企業に波及するまで時間を要する」(日銀仙台支店)との見方が出ている。

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