東北生産のトヨタ「ヤリスクロス」は日本を元気にするか

トヨタ自動車は、東北を「国内第3の生産拠点」に位置付け、東日本大震災後、東北に小型車の生産を集約してきました。

東日本大震災、さらには新型コロナウイルスの直撃、自動車産業はかつてない厳しい環境に置かれていますが、新型車「ヤリスクロス」が東北で生産されるというニュースは、市場を明るくするのではないでしょうか。

じつは、新型車「ヤリスクロス」は当初、日本導入の計画はありませんでした。

計画が変更になったのは、トヨタ社長の豊田章男氏の「なんで、このクルマを日本に導入しないの?」という一言がきっかけでした。

トヨタが東北に貢献できるとすれば、クルマをつくり続けて、自動車産業の基盤を維持することにつきます。豊田章男氏は、そう訴えてきました。その言葉の通り、トヨタは震災後も、東北で生産を続け、復興の原動力となってきました。このコロナ禍においても、東北の振興を後押しすることの意味は大きいといえるでしょうね。

この19日以降、放映される新型「ヤリスクロス」のテレビCMについても、豊田章男氏は注文をつけたそうですが、新型車のCMは、コロナ禍で暗くなりがちな世の中への明るいメッセージになると思います。

トヨタだけでなく、日産やホンダからも、次々と新型車の市場投入の動きがあります。新型車が発売されるとなれば、ユーザーは、「よし、あの新車を手に入れて頑張ろう」という気持ちにもなるんじゃないでしょうか。

コロナはいつ、どのような形で収束に向かうのか。まだまだ先は見えそうにありませんが、先が見えないときだからこそ、新車を出すことの意味は大きいといえます。新車が出ないのでは、世の中は元気になりませんよね。

「ヤリスクロス」は、日本市場向けには、この9月から宮城大衡工場で、10月からは岩手工場でも生産がスタートします。欧州市場向けについては、フランス工場での生産を計画しています。

「小型SUVの新しい時代を切り開き、東北から元気を発信したい」と、トヨタ自動車東日本社長の宮内一公氏は述べています。

東日本大震災の発生から9年半。トヨタ自動車東日本はトヨタグループの中核を担う開発・生産拠点として、いまや大きなパワーを持ちつつあるといえそうですね。

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