東北産品、九州ルートで香港向けに輸出へ 東経連と九経連協力

東北経済連合会が九州経済連合会と連携し、香港への東北の農水産品輸出に乗り出すことが21日、分かった。九経連の主導で設立された商社の九州農水産物直販(福岡市)が、九州産品を取引している香港の有力スーパーで販売する。東北産品の海外市場開拓が伸び悩む中、「九州ルート」の活用で輸出チャンスをうかがう。

東経連は昨年春、九経連と協議を開始。今月8日に東北6県と新潟県の産官学トップが出席した「わきたつ東北戦略会議」の初会合で、農水産品輸出で連携することで一致した。
東経連が窓口となり、東北の青果・水産物の事業者を九州農水産物直販に紹介する。本年度は同社の担当者らを招いた商談会や現地視察を4回計画。東北の旬の産品をまとめた「生産物カレンダー」も作成する。
九州農水産物直販は2015年8月に九経連やJA宮崎経済連、JR九州などが設立。香港でスーパーなど約300店を展開する英国財閥系のデイリーファームグループ(年商1兆8000億円)に九州産の果物や野菜を同年11月から出荷している。
輸入業者を介さずグループと直接取引するため、現地の中間層が求めやすい価格帯に設定できる。サツマイモやイチゴを中心に売れ行きは好調で、17年度売上高は前年比1.5倍の約3億円に上った。
一方で九州産品だけではロットが不足したり、リンゴなど九州産品以外の注文も増えるなどしている。九経連の小田保農林水産部長は「東北産品との組み合わせによって、同じ果物でも旬が異なる『産地リレー供給』が可能になる」と期待する。
東北からの輸送コストの削減がポイントで、小田部長は「東北がまとまって供給や物流を効率化させることで、香港の中間層に魅力に映る価格帯につなげてほしい」と訴える。
東経連の小野晋常務理事は「九経連の販売ルートを活用できるチャンス。オール東北で輸出体制を確立させたい」と述べ、各県の協力を得て年内の輸出第1号を目指す。

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