東北薬科大に医学部、評価のポイント

 新医学部の設置者を選定するに当たり、文部科学省の構想審査会は、構想の「具体性」と「確実性」を重視。この点で東北薬科大はポイントを稼ぎ、宮城県と脳神経疾患研究所を突き放した。
 審査会は(1)東日本大震災後の医療ニーズへの対応(2)教員医師の確保策(3)卒業生の東北への定着策(4)医師需給に対応した定員調整の仕組み-の4点で3者を比較考量した。
 東北薬科大は(1)患者や教職員の確保に有利な仙台市内に付属病院を保有(2)最大被災地の石巻市に地域医療教育のサテライトを設置(3)最大70人分の奨学金を確保-など「一通りの具体策を示し、具体的な連携先を設定している」と評された。
 確実性についても審査会は「東北で70年以上の医療教育実績があり、設置経費を自己資金で確保できる一定のめどがあり、財政面でも安定している」と分析した。
 東北各県との連携不足などの課題も挙がったが、審査会は「具体的な準備が進んでいるから具体的な問題を指摘できる」と、むしろ肯定的な評価を与えた。
 宮城県は、村井嘉浩知事が「宮城大医学部」設置の検討に着手してから申請まで3日間という短兵急があだとなった。教育内容などについて審査会は「具体的に示されず、実習などに必要な連携先との協議も未着手」「総じて準備不足が否めない」と断じた。
 あえて医療過疎地の栗原市へのキャンパス進出を目指した野心的構想も裏目に出た。審査会は(1)付属病院の経営(2)教員医師や看護師の人材確保(3)教育環境の構築-などについて強い懸念を表明している。
 審査会内には、東北薬科大と宮城県のどちらを選定すべきか両論があった。ただ「東北薬科大と宮城県は連携すべきだ」という点で委員の意見はおおむね一致。最後は宮城県に、奨学金制度などで東北薬科大をバックアップするよう求めた。
 脳神経疾患研究所は、原子力災害対応に力を入れている点は評価の対象となったものの「財政面で確実性に欠ける」「行政との密接な連携がない」などと指摘された。

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