東北の魅力を国内外に売り込む観光関係者の動きが活発化している。3月の北陸新幹線開業や仙台市で開かれる国連防災世界会議を踏まえ、首都圏や北陸地方 の旅行需要を掘り起こし、外国人旅行客の誘客に力を注ぐ。新緑の美しさといったテーマを前面に、新たな旅行商品も提案する。
JTBは4~9月、「日本の旬 東北」と題し、全国で東北の旅行商品の販売を強化。定番の桜や夏祭りに加え、5、6月は新緑を観光素材として売り出す。各地で約2週間のベストシーズンを設け、宿泊料金の割引や期間限定周遊バスを計画する。
旬の味覚を夕食で1品提供する試みや、地元の人しか知らない景観の鑑賞会、地域の魅力を伝える「感動魅力人」に案内してもらう商品など趣向を凝らす。
JTB東北(仙台市)の千葉幸洋社長は「新幹線開業で観光客の意識は北陸に向く。その流れに負けないために、東北に来てもらう仕組みづくりが必要だ」と力説する。
北陸新幹線開業を東北への誘客につなげようと事業を展開するのは東北観光推進機構(同)。4日に金沢市で「東北観光セミナー&東北の夕べ」を開いた。北陸新幹線を使えば金沢から仙台まで約3時間。「身近になる東北」を合言葉に、北陸の観光関係者約30人にアピールした。
北陸から東北を訪れる観光客は東日本大震災前で年間3万~4万人。セミナーでは「被災地を訪れ、防災教育に生かしたい」などの声があった。
同機構の担当者は「北陸を朝に出れば昼に牛タンが食べられる。手をこまねいているだけではいけない」と積極姿勢だ。
仙台市の主要ホテルで構成する総支配人協議会は、台湾をターゲットに情報発信を強める。昨年12月に台湾向け日本観光情報サイト「ラーチーゴー」に東北のコーナーができ、仙台のホテルも情報を出した。
担当する三井ガーデンホテル仙台(仙台市)の浅野隆総支配人は「台湾から仙台に訪れる人が見られるようになった。いいタイミングで防災会議がある。行政や小売業界を巻き込んだ動きも検討したい」と意気込む。