東北観光機構とJR北海道「東北へ教育旅行」連携

東北観光推進機構とJR北海道が、東北地方への教育旅行の誘致で連携している。北海道は最大の旅客供給地だったが東日本大震災で激減し、回復は道半ば。震災後、札幌市教委が航空機利用を解禁したことで首都圏に向かう学校も増えている。需要を呼び戻したい機構と鉄路利用を増やしたいJR北の狙いが合致した。

機構とJR北は2020年度の修学旅行誘致に向けて、札幌、函館、苫小牧、室蘭の4市で今月9~12日、学校や旅行会社の担当者を対象にした説明会を合同で開いた。
機構は岩手や宮城の震災被災地での防災学習の内容や、農山漁村での体験メニューを紹介。JR北は北海道新幹線による旅程短縮の効果や、指定列車を使用した場合の運賃割引制度などを説明し、受け入れ側と送り出す側の双方で東北訪問のメリットをPRした。
道央や道南の中学校を中心に、北海道は東北にとって、最大の教育旅行の客筋だ。全国修学旅行研究協会(東京)によると、09年度に東北を旅先にした道内の公立中学は、調査した650校のうち386校。弘前市や岩手県平泉町などが人気だった。
震災後の11年度は9校に減少。16年度は417校中160校で、順調に回復しているが、震災前の水準には戻っていない。
14年度には札幌市教委が中学の修学旅行で航空機の利用を解禁。目的地を首都圏に変更する学校が増え、16年度は全体の3割に当たる約30校に上った。
一時は鉄道利用が減少したものの、JR北は北海道新幹線の開業効果で対抗する。同社の担当者は「日程の短縮に加え、宮城や福島まで足を延ばすことも容易になった。新幹線利用への関心は高まっている」と話す。道内や首都圏を訪れていた道北や道東の学校が、北海道新幹線で東北を訪れたケースもあるという。
平日に大型の予約を確保できる修学旅行は、宿泊施設にとっても貴重な市場だ。特に復興需要が落ち着いた被災地で関心が高まっている。機構の担当者は「震災の教訓を生かした防災学習は東北ならではの教育素材。震災前の水準よりさらに伸ばしたい」と語った。

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