東北運輸局は10日、東北6県の官民による「災害に強い物流システム構築協議会」を設置し、災害時に支援物資を円滑に供給できる体制の構築に向け検討を始めた。東日本大震災の発生直後、被災地への物資供給が一部滞った教訓を踏まえ、緊急時に民間の物流倉庫も集積拠点に活用するなどの対策を話し合う。
協議会は国と東北6県、各県倉庫協会やトラック協会など業界団体、運送事業者、学識経験者らで構成。仙台市青葉区の東京エレクトロンホール宮城で初会合を開き東京海洋大大学院の苦瀬博仁教授を座長に選んだ。
会議は冒頭以外、非公開で行われた。運輸局によると、国の担当者が災害時に使う民間倉庫を事前にリストアップする必要性を説明。国と自治体、物流業者が連携した物資供給体制のたたき台を提案した。
震災発生直後は岩手、宮城、福島3県の多くの公共施設が避難所となり支援物資の集積拠点が不足した。在庫管理のノウハウがない調整窓口では混乱が生じ、一部避難所に物資が届かないなどのトラブルが頻発した。
協議会は今後3回ほど開催し、来年2月に検討結果をまとめる。東北6県がトラック協会と結ぶ災害時の協定を見直したり、宮城を除く5県と地元倉庫協会との協定締結を促したりもする。
苦瀬座長はあいさつで「官民連携だけでなく官官や民民の協力体制も考え、震災時に浮上した物資輸送の課題を解決したい」と話した。