東北電、供給綱渡り 予備率 一時最低の2.8%

 東日本大震災の影響で電力需給が逼迫(ひっぱく)している東北電力の供給余力(予備率)が8日、ピーク需要前の午前中に今夏最低の約2.8%(速報値)に低下した。同社は2度にわたり東京電力に電力融通を追加要請し、計110万キロワットの融通を受けた。計画停電は「原則として実施しない」としているが、綱渡りの状況は続くとみられる。
 東北電は、9日は融通分を現段階で最大限の140万キロワットまで引き上げる予定。さらに融通枠の拡大に向けて東電と協議する方針だ。
 東北電は7日夜、8日の最大電力需要を1180万キロワット程度と想定し、東電から30万キロワットの融通を受ける計画を立てた。同社は8日の気温上昇を受け、想定需要を1200万キロワットに修正し、午前10時から50万キロワットの追加融通を東電に要請。午前11時台に実際の需要が修正後の想定も超えたことから、融通分をさらに30万キロワット積み増した。
 予備率が最低となったのは2度目の融通を受ける前の午前11時台で、1246万キロワットの供給力に対し、需要が1212万キロワット(速報値)に上った。約2.8%は1時間の平均で、瞬間的には需要が1223万キロワットに達し、2%を下回った。
 最終的に8日午後の供給力は1276万キロワットとなり、最大需要(1230万キロワット、速報値)を記録した午後2時台の予備率は約3.7%に改善した。
 東北電が自社確保できる供給力は現在、震災の影響と7月末の新潟・福島豪雨による一部の水力発電所停止で、1166万キロワットに低下。東電からの融通についても、どの程度上積みを図れるかは不透明だ。
 管内県庁所在地の最高気温の平均が1度上昇すると、需要は30万~35万キロワット程度増える可能性があるため、東北電は「計画停電を回避する上でも、引き続き節電への協力をお願いしたい」と説明している。

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