東北電力が250億円規模の機関投資家向け普通社債を発行する方針を決めたことが22日、分かった。3月初旬までに募集し、同16日に発行する予定で、調達資金を東日本大震災で被災した火力発電所の復旧費などに充てる。原子力発電所を有する大手電力9社は東京電力福島第1原発事故後、新規の社債発行を見送っており、初の再開となりそうだ。 東北電によると、発行するのは期間5年が200億円程度、10年が50億円程度で、利率など詳細を調整している。
調達資金は震災で被災した太平洋側の火力発電所のほか、昨年7月の新潟・福島豪雨で被災した福島、新潟両県の水力発電所の復旧費に充てる。
同社の社債発行は2011年1月に期間5年の普通社債300億円を発行して以来。原発事故後は電力会社に対する信用力の低下で社債の金利上昇などが見込まれるため、他社と同様に新規起債を見送っていた。
東北電は「金融機関と協議し、社債発行を再開できると判断した。安定的な資金確保のため、調達手法を多様化させたい」と説明している。
同社では震災後、女川原発(宮城県女川町、石巻市)と東通原発(青森県東通村)の運転停止が続く。被災した火力発電所などの復旧費や、原発停止に伴う火力発電用燃料費の大幅な増加で、12年3月期連結決算は過去最大となる2500億円の純損失に陥る見通し。
震災後の資金調達はこれまで、銀行からの借り入れが中心で、1月には被災発電所復旧のため、日本政策投資銀行をはじめ計37の金融機関から総額1200億円の協調融資を受けている。