東北電力は本年度、ICT(情報通信技術)を用いて自治体や企業、家庭が保有する発電設備や蓄電池を遠隔制御し、集約する実証実験に着手する。地域に分散する電源をまとめ、新たな需給調整機能として活用する。3年間の実証期間で5000~1万キロワット規模を集約し、実用化を目指す。
電源や蓄電池をICTで集中制御し、一つの発電所のように扱うことから「仮想発電所(バーチャルパワープラント、VPP)」と呼ばれる試み。
法人や家庭が所有する太陽光などの再生可能エネルギーは、天候によって発電量が左右される。東北電はVPP協力者に対価を支払って発電を制御し、発電量が余った時は各地の蓄電池に充電。業務用のヒートポンプ給湯器で湯を沸かすといった新たなサービスの提供につなげる。
東北電は対象設備としてオフィスの空調機器や電気自動車(EV)の蓄電池も見込み、協力者を募集する。
原田宏哉社長は3月下旬の記者会見で「特定の季節や時間帯に稼働が限られる設備や使われていない設備もある。集約して有効活用し、協力者もメリットを得られる仕組みを目指す」と述べた。