東北電力は28日、一般家庭の多くが契約する「規制料金」を来年4月以降に値上げする方針を発表した。値上げの幅や時期など具体的な内容を固め、国に料金認可の申請を行う。独自の判断で柔軟に料金を設定できる「自由料金」も11月分から法人向け、12月分から家庭向けで値上げを決めており、全ての電気料金が上がることになる。ウクライナ危機や最近の円安による燃料高が要因。国の認可が必要な規制料金を改定するのは2013(平成25)年9月以来となる。 ロシアのウクライナ侵攻や円安で、燃料価格や卸電力取引市場の価格が高騰していることなどから、安定的な燃料調達や電力設備の更新・修繕などへの投資を十分に行うことができず、電力の安定供給に影響を及ぼしかねないと判断した。 電気料金には燃料価格の上昇分を反映できる「燃料費調整制度」があり、これまで制度の範囲内で料金を引き上げてきた。しかし、6月には転嫁できる上限に達し、上限を超えた分の同社の負担額は計約72億円に上っていた。
2013年の料金改定は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に伴う原子力発電所の停止や燃料価格の高騰を受け、11・41%の値上げを国に申請。8・94%に決定した。28日に仙台市の本店で記者会見した樋口康二郎社長(福島県国見町出身)は値上げ幅について「(前回(11・41%)を上回る幅になるのは明らか」との見通しを示した。その上で「企業努力で対処可能な範囲を大幅に超えた。お客さまに負担を掛けるのは心苦しいが、やむを得ない」と述べた。 福島県内の対象件数は家庭向けの規制料金が84万7572件で、県内における東北電力の家庭契約件数の約76%を占める。自由料金は26万8309件で約24%。自由料金では11月以降、工場やホテル、商業施設などを持つ法人向け高圧プランの電気料金も16~18%アップする。 東北電力が12月分から実施する家庭向けの「自由料金」の値上げ幅は約28%となる。同社が28日、発表した。12月分から燃料費調整制度の転嫁上限が撤廃され、最新の燃料費調整単価が適用される。調整額は1キロワット時12・57円で調整単価の上限が適用されている11月分までの1キロワット時3・47円に比べ9円近く高くなる。
12月分の電気料金に適用される今年7~9月の平均燃料価格は1キロリットル当たり8万8300円で、2012(平成24)年10~12月の同3万1400円を大きく上回っている。標準的な家庭用モデル料金で月額当たり2366円(約28%)の負担増となる。 同社が7月に上限撤廃の方針を公表した際、9月分の燃料費調整単価で試算すると、標準的な家庭で月額約13%の値上げになると説明していた。 ※家庭向け電気料金 規制料金は国の規制を受ける。従来からある「従量電灯A・B・C」「定額電灯」などが知られ、高齢者世帯の契約が多い傾向にある。柔軟に料金を設定できる自由料金は「よりそう」を冠したプランが中心。時間帯ごとの料金プランや割引サービスがあり、オール電化住宅や比較的若い世代の契約が多い。