東北電力は6月1日、家庭や商店向け電気料金の規制料金について、1キロワット時当たり平均25・47%値上げする。輸入燃料価格が大幅に高騰した分を料金に転嫁できるようになり、東日本大震災で財務基盤が傷んだ2013年以来、10年ぶりの抜本的な値上げとなる。国の電気料金抑制策は9月までの継続が予定されているが、夏場の需要期や抑制策終了後の消費者の負担感は増しそうだ。
値上げ後の主な契約メニューのモデル料金によると、標準家庭(契約電流30アンペア、使用電力量260キロワット時)の月額料金は2110円(26・27%)上がり、1万142円となる。燃料費調整制度に基づく平均燃料価格の下落や、国が2月に始めた電気料金抑制策(標準家庭で1820円軽減)も加味すると、6月分の料金は7833円、7月分の料金は7537円となる。
6月の検針では、5月末までの旧料金と6月からの新料金が日割り計算され、合算して請求される。7月以降は1カ月間の使用分全てが新料金で計算される。
規制料金に転嫁される平均燃料価格はこれまで基準燃料価格3万1400円の1・5倍までだったが、昨年6月からは平均価格がその上限を超過し、東北電は「逆ざや」に陥っていた。6月からは基準価格が8万3500円に引き上げられ、同月と7月は平均価格が基準価格を下回ったため、料金にはマイナス調整が働くことになる。
規制料金の引き上げには国の認可が必要で、東北電は昨年11月に平均32・94%の値上げを申請。4月実施を目指したが、国の審査で値上げ幅の圧縮を求められ、認可は今月19日にずれ込んだ。
家庭、商店向けの自由料金も平均3・53%値上げ
東北電力は規制料金の引き上げに合わせて6月1日、家庭や商店向け自由料金も1キロワット時当たり平均3・53%値上げする。自由料金改定は国の認可が必要なく、昼間に比べ夜間の単価を抑えていた契約メニューで昼夜の単価差を見直すなどした。
東北電の契約件数のうち自由料金は約2割の154万件を占める。昼夜間で単価に差を設けているメニューでは、夜間は1キロワット時当たり4・95円引き上げ、昼間は1・98円引き下げる。再生可能エネルギーの普及拡大を背景とした昼夜間の発電コスト差の縮小を反映させた。
東北電が送配電網の利用料として送配電事業者に支払う「託送料金」が4月に値上げとなった影響も、規制料金と同様に盛り込んだ。基本料金では標準家庭(契約電流30アンペア、使用電力量260キロワット時)で10アンペア当たり39・6円値上げする。
東北電は昨年12月、家庭など向けの自由料金に自主的に設けていた燃料費調整制度の転嫁上限を撤廃。標準家庭の料金は今年1月のピーク時に1万1094円に達した。その後の燃料価格の下落などで6月の料金は規制料金に比べて55円安い7778円、7月分も55円安い7482円となる。