東北電社長、値上げ示唆 「安定供給できねば検討」

 東北電力の海輪誠社長は31日の記者会見で、原発停止の長期化に伴う財務状況の悪化が続く場合「料金改定を含めたあらゆる選択肢を検討せざるを得ない」と述べ、将来的な電気料金引き上げの可能性を示唆した。検討の前提としては「資金調達が滞るなど、電気の安定供給に支障を来す事態」となった場合とし、引き上げ時期や値上げ幅への言及は避けた。
 海輪社長は「まだ(値上げの)具体的な検討には入っていない。収支の状況を見極めている」と強調した。料金改定の判断基準については「決算だけでなく、今後の電力需給や原発再稼働の見通し、経営効率化の進み具合などをぎりぎりまで見極め、総合的に判断する」と語った。
 東北電が同日公表した2013年3月期連結決算の業績予想では、純損失は1000億円で、3期連続の赤字となる見込み。震災前の10年3月末時点で21.2%だった単体の自己資本比率は、13年3月末で約11%まで低下する見通しとなった。
 海輪社長は「10%以上の自己資本を維持しないと、(資金調達などで)市場の信認は得られない」と述べ、自己資本の取り崩しが続く場合には、値上げは避けられないとの認識を示した。
 一方で「一日も長く、現行の料金体系を維持したい」との考えも示し、基準賃金も含めた人件費削減に踏み切る考えも明らかにした。
 東北電の値上げの料金改定は、石油ショックの影響を受けた1980年4月以来、実施されていない。電力大手では関西電力と九州電力が値上げに向けた検討を正式表明している。

タイトルとURLをコピーしました