東北6県の変動率28年ぶりプラスに 基準地価、仙台の商業地10.5%上昇

国土交通省が19日発表した7月1日時点の都道府県地価(基準地価)は、仙台市で住宅地が前年を6.0%、商業地が10.5%上回り、宮城県全体を押し上げた。全国的な景気回復の流れが東北にも波及。6県の商業地(平均地価)の変動率は前年の0.2%下落からプラスに転じ0.1%となった。下落から上昇に移ったのは、バブル期だった1991年以来28年ぶり。

 東北6県の住宅地の平均地価は、前年比0.5%の下落。21年連続でマイナスとなったものの、下げ幅は0.1ポイント縮小した。各県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。

 宮城県はJR仙台駅周辺や東北大雨宮キャンパス跡地(仙台市青葉区)の再開発を巡る動きが引き続き活発。住宅地、商業地ともに上昇幅が拡大した。

 福島県は、東京電力福島第1原発事故に伴う移転需要がほぼ収束し、住宅地は上昇率が前年比0.3ポイント減。上げ幅の縮小は4年連続となった。商業地は2年連続横ばいだった。

 青森、岩手、秋田、山形各県は住宅地、商業地ともに下落したが、下げ幅は緩やかになった。

 岩手県矢巾町は岩手医科大付属病院(21日開業)の整備に伴い医療関連事業所などの需要が高まり、商業地、住宅地ともに上昇。東日本大震災の沿岸被災地は、三陸沿岸道の整備が進む釜石市が住宅地、商業地ともにアップしたが、他の地域は下落が続く。

 高齢化率が全国最高クラスの秋田県は住宅地、商業地ともに国内で唯一、下落幅が2%を超えた。ただ、秋田市はJR秋田駅前の再開発が進み、住宅地の下落が19年ぶりに止まり変動率はゼロ。商業地は27年ぶりに下落から上昇に転じ、前年比0.2%上回った。

 第1原発事故で帰還困難区域に指定された福島県内12地点は調査を休止している。浪江町2地点、飯舘村1地点は、廃炉作業員を雇用する事業者による土地取引の動きがあり調査を再開した。

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