東北9空港利用、過去最低 震災の影響浮き彫り 11年度

 2011年度の東北の9空港の国内線と国際線を合わせた利用実績(速報値)は約520万5000人で、現在の空港数となった1998年以降で最低だったことが、国土交通省東京航空局などのまとめで分かった。前年度から約96万人(15.6%)の大幅減で、東日本大震災による影響の大きさが鮮明となった。
 12年度に入って回復傾向にあるものの、震災前水準には戻っていない。10月に就航予定だった中国東方航空の国際定期便仙台-上海線の中止が19日判明するなど、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題も影を落とす中、国際線などの利用増をどう図るかが今後の課題となっている。
 空港別の利用実績は表、年度ごとの推移はグラフの通り。東北全体で11年度は国内線が前年度比で約67万人、国際線が約29万人減った。
 仙台空港は国際、国内線合わせて約78万人減少し、200万人を割り込んだ。津波で施設が被災し、定期便が長期運休したことが響いた。
 福島空港は原発事故による影響が大きい。上海、ソウルの両国際定期便はいまだに再開のめどが立っていない。青森空港はソウル線が震災から約7カ月間運休。昨年7月に復活した名古屋線の使用機材が小型化されたことも減少につながった。
 これに対し、花巻、秋田、山形各空港は増加した。仙台空港の機能停止や東北新幹線の運休などを受けた国内臨時便の増発効果が表れた。
 岩手県空港課は「羽田線の臨時便もあり、震災後約2カ月間で、既存路線を含めて復興関係を中心とした利用者が増えた」としている。
 東京航空局によると、12年度4~6月の利用実績(速報値)は東北全体で前年同期比33.2%増の約146万9000人。ただ震災前の10年同期(約160万6000人)までは回復していない。内訳は国内線が28.2%増の約140万人8000人、国際線が12倍近い約6万1000人だった。
 課題となる国際線の利用増について、宮城県空港臨空地域課は「領有権問題にかかわらず、観光客を歓迎する姿勢は変わらない」と説明。7月に始まった岩手、宮城、福島3県を訪れる中国人観光客を対象にした数次査証(ビザ)についても「何とか生かしていきたい」と話している。

タイトルとURLをコピーしました