東北GW旅行商戦好調 被災地中心増客見込み

 今年のゴールデンウイーク(GW)に向け、東北の旅行商戦が好調だ。連休が前半、後半に分かれたため国内商品が活気づき、中国・韓国との緊張関係で伸び悩む海外をカバーする勢いを見せている。大型観光宣伝やテレビドラマによる集客効果も重なり、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県を中心に観光客が増えそうだ。
 JTB東北(仙台市)によると、国内旅行で最も人気が高いのは東京方面。開園30周年の東京ディズニーランドは定番コースで、昨年のGWより1割以上伸びた。昨年5月に開業した東京スカイツリーも集客力を持続しているという。
 近畿日本ツーリスト東北(仙台市)でも、国内は前年同期比15%増となった。石塚隆行販売課長は「東北間を行き来する旅行が盛り返している。温泉への一人旅、ブランド牛特集など商品開発の成果が表れ始めている」と分析する。
 東北外からも震災被災地を中心に増客が見込めそうだ。インターネット旅行サイト大手の楽天トラベル(東京)によると、福島への予約が前年同期比86%増、宮城39%増、岩手23%増と被災3県の上昇が際立つ。
 3県にはNHK大河ドラマ「八重の桜」や大型観光宣伝「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)」、「平泉の文化遺産」の世界遺産登録といった好材料がそろう。楽天トラベルは「各県独自の誘客努力も効果を生んでいる」(PRチーム)と話す。
 海外はハワイや東南アジア方面が堅調。欧州やクルーズといった比較的高額な商品も健闘する。JTB東北の石橋信司仙台支店長は「日程を延ばしたり、人数を増やしたりと、旅行支出が増えている」と指摘する。
 これに対し、東北からの直行便がある中国・韓国は、領土摩擦や不安定な北朝鮮情勢、鳥インフルエンザ問題と悪条件が重なった。「価格を下げても難しい状況」(関係者)と、お手上げの状況が続いている。

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