東北の信用金庫の2016年3月期決算は、全27信金が純利益で黒字を確保した。純利益合計は前年比10.0%減の138 億4400万円で、減少は2年連続。増益となったのは前年より1少ない14信金だった。利息収入など本業の収益が伸び悩んだ信金が多く、不良債権処理費は 全体でやや増えた。
各信金の純利益、コア業務純益、貸出金残高は表の通り。純利益は杜の都信金(仙台市)の17億6600万円が最も多く、あぶくま信金(南相馬市)の11億3400万円が続いた。
本業のもうけを示すコア業務純益は16信金で減少した。純利益、コア業務純益とも減少した会津信金(会津若松市)は「金融市場が低金利で推移した上、日銀がマイナス金利を導入した影響もあり、貸出金や有価証券の利息収入が減少した」と説明した。
不良債権処理費は合計1億4000万円。過去2年間は貸倒引当金の戻し入れ益の方が多かったが、3年ぶりに処理費が上回った。信金別では8信金で処理費が 増えた。約2.2倍となった一関信金(一関市)は「東日本大震災の復興需要がピークを過ぎ業績が悪化した企業が増えていることが背景にある」と話した。
貸出金残高合計は3.0%増の2兆3070億円、預金残高合計は1.2%増の5兆2038億円。不良債権比率は22信金で改善し、経営の健全性を示す自己 資本比率は18信金で上昇した。今期の見通しを開示した19信金のうち17信金が減益を予想。増益予想は2信金にとどまった。
各信金が収益力強化に向けた取り組みに挙げたのは「コンサルティング機能発揮やビジネスマッチング支援」(仙南)、「個人向けローンの積極推進」(杜の都)、「ファンド活用の起業支援」(盛岡)など。
河北新報社が各信金に調査票を送付し、全27信金から得た回答をまとめた。