東北6県の路線価、上昇13地点 秋田市やいわき市、文化施設やホテル開業で上昇

 仙台国税局が3日発表した2023年の東北の52税務署別の最高路線価(1平方メートルあたり)は上昇が4県13地点となり、22年より2地点増えた。下落は22年と同じ11地点で、横ばいは2地点減って28地点となった。秋田市やいわき市では、文化施設やホテルの開業などを背景に上昇した。東日本大震災で被災した岩手、宮城両県の沿岸部では気仙沼市や宮古市で下落した。

<青森>
 7税務署の最高路線価で上昇した地点はなかった。弘前が3年連続で下落、ほか6地点は横ばいだった。

 最高路線価は、32年連続で青森市の「新町通り」で横ばいは2年連続。前年に3年ぶりの上昇に転じたむつ市の「国道338号通り」も横ばいだった。

 標準宅地の県内平均は0・3%下落し、14年連続のマイナス。下落率は前年から0・1ポイント縮小した。
<岩手>
 最高路線価は32年連続で盛岡市の「大通り」で、2・2%下落した。下落は3年連続。担当の不動産鑑定士によると、飲食店街では新型コロナウイルスの影響で減った客足が戻ってきたが、空き店舗が埋まらず収益性が回復していない。

 9税務署の最高路線価で盛岡など3地点は下落し、6地点は横ばい、前年に続き上昇はない。標準宅地の平均は上昇に転じた。
<宮城>
 10税務署の最高路線価は仙台圏を中心に6地点で上昇した。横ばいは築館など3地点。気仙沼が唯一のマイナスとなり、2年連続で下落した。

 最高路線価は仙台市青葉区の「青葉通」で、1997年の水準まで戻った。東日本大震災で被災した気仙沼市は、観光や水産業の苦戦が続き、経済活動の停滞が地価にも響いた。

 標準宅地の平均変動率は4・4%の上昇。
<秋田>
 8税務署の最高路線価は2地点で上昇した。最も高いのは秋田市の「秋田駅前通り」で4年ぶりの上昇。22年に開館した文化施設の波及効果や複数のマンション建設計画を反映した。下落は湯沢のみで4年ぶり。横ばいは5地点で本荘、大館は8年連続。

 下落が13年続いてきた標準宅地の県内平均は0・2%上がり、上昇に転じた。秋田北の最高路線価地点が変更された。
<山形>
 最高路線価は49年連続で山形市の「山形駅前大通り」となり、横ばいだった。東根市の「さくらんぼ東根駅前通り」は4年連続で上昇した。世帯数増による堅調な需要を反映した。

 8税務署別の最高路線価は村山で上昇、寒河江と長井が横ばいから下落に転じた。酒田は最高路線価地点が変更され、下落から横ばいに改善。前年下落した標準宅地の県内平均は0・2%のプラスとなった。
<福島>
 10税務署のうち4地点で最高路線価が上昇。横ばい、下落が各3地点だった。

 最高路線価は30年連続で郡山市の「郡山駅前通り」で、3年ぶりに上昇に転じた。変動率が最も大きかったのは、いわき市の「いわき駅前大通り」で7・7%上昇した。駅直結の大型ホテル開業などが要因。標準宅地の県内平均は0・4%上昇し、2年連続のプラスとなった。

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