東大が「大型加速器」の研究拠点設置へ…国際共同研究を主導する若手研究者ら育成

加速した粒子同士を衝突させて物質の構造などを解明する研究を強化するため、東京大が7月、新たな拠点を設置することがわかった。1兆分の1ミリレベルの原子核内部を観察できる米国の大型加速器「EIC」の建設計画に日本が参加することを見据え、加速器を使った米国などとの共同研究を主導する人材を育成する。

東大が「大型加速器」の研究拠点設置へ…国際共同研究を主導する若手研究者ら育成

東大が「大型加速器」の研究拠点設置へ…国際共同研究を主導する若手研究者ら育成© 読売新聞 提供

 新拠点は「クォーク・核物理研究機構」で、本郷キャンパス(東京都文京区)に事務局を設ける。研究者約10人で7月から運用を始め、機構長には、中村哲教授(原子核物理学)が就く。

 全ての物質は原子で構成され、中心部の原子核は陽子と中性子で出来ている。新拠点は、原子核内部の極微の世界の構造や性質、陽子などを構成する素粒子の一種クォークの研究を行う。

 米エネルギー省傘下のブルックヘブン国立研究所(ニューヨーク州)は、粒子の衝突実験を行う大型加速器「EIC」を建設する計画で、日本の文部科学省は今月15日、計画に参加する方針を表明した。計画には24か国が参加する見通しで、量子コンピューターなど先端技術の実用化にも貢献できると期待されている。

 新拠点は、各国との共同研究を見据え、大型加速器を持つ理化学研究所や高エネルギー加速器研究機構のほか、大阪大など複数の国内大学とも連携する。EICに派遣する若手研究者らの育成も進め、EICが実験を始める2032年に向け、日本が国際研究を主導する体制を整える。

 中村教授は「国際的な視点を持つ次世代のリーダーを輩出し、日本の研究力向上にも貢献したい」と話す。

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