ジャニーズ事務所が2023年9月7日に、創業者のジャニー喜多川氏=2019年に87歳で死去=による性加害問題で記者会見を開いたことを受け、被害を訴える元ジャニーズJr.らでつくる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。
会社側が喜多川氏による性加害を認めて謝罪し、補償を表明する「3点セット」が実現したことについては評価する声も相次いだ。一方で、マネジメント経験のない東山紀之氏が社長に就任し、一連の事案を「うわさとして」聞いていたと述べるにとどめた点について批判が続出。メディアに限らず、所属タレントの起用を続ける企業は「組織的共犯者」で、ジャニーズ事務所は「解散すべき」とだとする声も出た。
「なぜいまだに『うわさでしか聞いたことがなかった』などという言葉が」…
東山氏は記者会見で、一連の性加害事案について、
「うわさとしてはもちろん聞いていた。私自身は被害を受けたことがなく、受けている現場に立ち会ったこともない。先輩たち、後輩たちからも相談はなかった」
などと述べていた。この点について「当事者の会」メンバーから批判が相次いだ。
ハヤシ氏(仮名)は「質疑応答を聞いていて、納得いかない部分も多々あった」と発言。東山氏について
「全てを話していない、言えないような状況があるのだと思うが、それでは何の解決にはならない」
「なぜいまだに『うわさでしか聞いたことなかった』などという言葉が出てくるのか不思議でたまらない」
などと発言の信ぴょう性を疑問視した。長渡康二氏は、
「私たちは、それこそ命を削りながら、この場に立っている。それに合う会見ではなかったのかなと思う」
と失望感を表明した。中村一也氏は、東山氏が「この場においても、当時の話を隠蔽されている」として、「そんな方が新社長、とても残念に思いました」と話した。
平本淳也代表は、東山氏に対して現時点で「攻撃的な姿勢をとるつもりはない」とする一方で、「納得いかないな、ちょっと気持ち悪い」面があったと指摘した。
所属タレント起用続ければ「組織的な共犯者になると思う」
「忍者」元メンバーの志賀泰伸氏は、東山氏の発言を「自身の保身のみに走っている意見」だと批判。東山氏は、一連の事案に関して寄せられた声を「全て黙殺してきた側」だと指摘した。さらに、タレントとして活躍してきた東山氏を社長に据えたことも疑問視した。
「そもそも東山氏はタレントであり、経営者ではない」
「経営者のスキルを身につけるというのは、相当な年月がかかる。そんな甘いものでは僕はないと思う」
質問に答える形で、事案を黙殺してきたメディアの責任にも言及。第三者委員会による検証と、所属タレントの起用自粛が必要だとした。
「各局も第三者委員会を立ち上げて、なぜ、長期間にわたり黙殺してきたのか、誰がそうしてきたのか、何が起こっていたのか…、これはジャニーズ事務所と同様、調査して説明する責任と義務はあると思っている」
「特にテレビ局は、いまだにこういう問題がはっきりしている中で、ジャニーズ事務所のタレントを忖度(そんたく)して使い、利益を事務所が生んでいるという状況になっている。これは普通に考えたらありえないことだ」
その上で、事案の検証と被害者への補償が完了次第、ジャニーズ事務所は解散すべきだと主張した。
「人類史上、類を見ない問題が明らかになっている企業だ。せめて(起用を)自粛するとか、降板するとか、諸事情があると思うが、そういう対応、しかるべき対応はやっていただきたい。テレビ局、メディアの方も含めて、事務所もそうだが、黙殺してきた内容、原因を全部追及していただいて、被害者全ての方への謝罪であれ救済であれ補償をして、ジャニーズ事務所は解散すべきだと思う」
起用し続けるスポンサーは「組織的な共犯者になると思う」とも説明し、
「全世界から、犯罪者に加担している共犯者として思われても仕方がない」
と話した。