東山紀之氏も雑魚寝していた中、起きた「社長、やめてよ」…元Jr.が「ウソ」確信 ジャニーズ性加害問題

ジャニーズ事務所が創業者のジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害を認めた記者会見で、東山紀之・新社長が「性加害はうわさとしては聞いていた」と発言したことを、被害者であるジャニーズJr.(ジュニア)の元メンバーが疑問視している。被害に遭った時に東山氏が近くにいたことなどを本紙に証言し、「ジャニー氏が自分を襲おうとしていたのは知っていたはずだ」と憤る。(望月衣塑子)

◆「ジャニー氏が襲おうとしていたのは知っていたはず」

 「思わずテレビの画面に向かって『うそやろ! うそつくな!』と叫んでしまった。トップがああやって違うことを話してしまうと、もう誰も本当のことなど言えませんよね」。今月7日の会見で出た東山氏の「うわさ」発言に、元ジュニアの50代の男性は怒った。

 男性は東山氏がメンバーのアイドルグループ「少年隊」がデビューする前、ジュニア時代に東京・原宿の合宿所に10回ほど寝泊まり。1981年ごろ、東山氏らには個室がなく、一緒に雑魚寝で布団を並べていたという。

記者会見した東山紀之新社長(右)と井ノ原快彦ジャニーズアイランド社長=9月7日、東京都内で

 男性によると、ある夜に布団にジャニー氏が入ってきて、左側で寝ていたジュニアのメンバーが「社長、やめてよ」と声を出した。その後、ジャニー氏が男性の右側で寝ていた東山氏との間に入ってきて、襲ってきた。他のメンバーからうわさを聞いていたため、パンツのひもをきつく締めてずり下ろされないように抵抗した。ジャニー氏は耳元で「すごくかわいいね」などと何度もささやいたという。

 男性は「隣の人の『社長やめて下さい』が聞こえたように、東山氏も自分をジャニー氏が襲おうとしていたのは知っていたはずだ」と話す。

◆夜、一緒にいた少年隊のメンバー3人が部屋から消えた

 男性が17歳の時には、合宿所のリビングでテレビゲーム機などで遊んでいた際、夜ある時間になったら一緒にいた少年隊のメンバー3人が部屋から消えた。「あれ、みんなどこに行ったのかな」と思っていると、ジャニー氏が現れ、性加害を受けた。

 「ショックだった。合宿所は修学旅行みたいな楽しさと面白さがあったが、被害を受けてからショックで行く気がなくなってしまった。いま思うと少年隊が3人ともいなくなったのは、ジャニー氏が自分を襲うのが分かっていたからではと思う」

◆「YOU、お風呂入りなよ」…岡田幸治さんの証言

「東山紀之新社長には、本当のことを語ってほしい」と話す元Jr.の岡田幸治さん=東京都内で

 もう一人の証言者は、元ジュニアの岡田幸治さん(55)。84年に事務所に入り、少年隊のバックダンサーもしていた。田原俊彦さん(62)に憧れて16歳で事務所に入った。2回目のレッスンでジャニー氏から「YOU、泊まって行きなよ」と声をかけられ、合宿所に泊まった。

 ご飯を食べてみんなでリビングでテレビゲーム機で遊んでいるとジャニー氏が「YOU、お風呂入りなよ」。ジャニー氏は脱衣所に入ってきて、洋服を脱がされ泡風呂で全身を洗われ、陰部も触られた。夜は襲われなかった。

◆「あうんの呼吸で皆がスッと出て行った」

 翌週もジャニー氏に呼ばれ合宿所に行くと、東山氏と遭遇。東山氏に「今日泊まるの?」と聞かれ「はい」と答えると、「ふーん」と言われたという。その夜にリビングで二つの内鍵をかけられて、ジャニー氏から性加害を受けた。直前まで東山氏らも一緒にいたが、ジャニー氏が岡田さんに「お風呂入りなよ」と言った後に姿を消したという。

 「あうんの呼吸で皆がスッと出て行った。東山氏は、ジャニー氏が自分を狙うことは分かっていたのだと思う」。岡田さんは、在籍した3年で15回ほど被害に遭ったという。

 東山氏は7日の会見で、「被害を受けたこともなく、受けている現場に立ち会ったこともなく、先輩や後輩からも相談もなかった」と述べ、ジャニー氏の性加害を「うわさ」として認識していたと説明した。

 ジャニーズ事務所は本紙の取材に「2人の被害事実は現時点で把握しておりませんので、回答を差し控えさせていただきます。まずは、訴えに対しましては深くおわび申し上げます」と答えた。

◆「あと2週くらい」ジャニー氏の指示で決まったランキング

 岡田さんは、当時の歌番組のランキングを巡り、ジャニーズ事務所とテレビ局側の「癒着」を耳にしたこともあった。

 岡田さんは、ジャニー氏がTBSの「ザ・ベストテン」や日本テレビの「ザ・トップテン」に行くのにも同行していた。ジャニー氏は少年隊の活動と東山氏への思い入れが特に強く、楽屋でもよく東山氏に言葉をかけていたという。

 少年隊が1985年12月にリリースした「仮面舞踏会」はランキングで1位が続いていたが、「ベストテン」のディレクターとジャニー氏が、ステージを見下ろせる2階の部屋で話していた内容が忘れられないという。

 ディレクターが「あとどのくらい(1位を)やりますか?」と聞くと、ジャニー氏が「あと2週くらい」。その後、2週連続で仮面舞踏会が1位だった。

 「トップテン」でも同じような言動をジャニー氏がディレクターとしていたという。

 岡田さんは「必死ではがきを出しているファンもいるのに、そんなことで順位が決まっているのかとショックだった」と振り返る。

 事実関係を確認しようとTBSに取材を申し込むと、文書で回答があった。そこには「製作過程については従来、お答えしておりません」と書かれていた。日本テレビは、期日までに回答がなかった。

◆「ジュリー氏は何か失ったんでしょうか。何も失ってないですよね」

記者会見した藤島ジュリー景子前社長(右)と東山紀之新社長=9月7日、東京都内で

 ジャニーズ事務所は、藤島ジュリー景子氏が社長から退いたものの、100%株式を保有し代表取締役のまま。所属タレントが出演するCMの企業などが「経緯改革の意志に乏しい」と契約を更新しない事態が相次ぐ。

 先述の元ジュニアの50代男性は「ジュリー氏は何か失ったんでしょうか。何も失ってないですよね。結局、事務所の利益とファンとタレントのことしか考えてないのではないか。これではCM企業が離れていくのは当たり前だ」と語気を強める。

 事務所の社名変更については、「ジャニーズという名前がこれまでステータスだったのもあり、正直、ジャニーズの名前がなくなるのは寂しいが、事務所も性加害を認め、被害者も相当いる。このままではイメージダウン。芸能事務所として継続していくのであれば、国外のイメージも含めて社名は変更せざるを得ない」と話した。

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