「都会の女はみんなキレイだ。でも時々、みっともない」――。こんな標語が印象的な、東急電鉄のマナー広告が物議を醸している。
車内でのメイクを控えるよう呼びかけるものだが、ネットで「『みっともない』なんて全然思わない」「女性への抑圧」と批判が沸き起こり、逆に広告に賛成する声も相次ぐなど、賛否が大きく分かれる状態になっている。
■「電車内の化粧のどこがマナー違反か」「女性への抑圧」
東急電鉄は16年9月16日から、「わたしの東急線通学日記」と題する啓発ポスターを全線(世田谷線除く)に掲出している。大学進学を機に上京し、東急線沿線に住み始めた主人公の女性がさまざまな乗車マナーに触れるといった趣旨だ。
すでに第4弾まで公開されており、「車内化粧篇」は第2弾。第1弾の「歩きスマホ篇」とともに9月16日から掲出されている。「都会の女はみんなキレイだ。でも時々、みっともない」という一文に、座席シートでメイクする女性の写真が重ねられている。しかし、ツイッター上では、この広告に対して、
「電車内の化粧のどこがマナー違反かよくわからない」
「女性への抑圧」
と疑問の声が続々と寄せられた。写真を見る限り、女性の座るシートは空いている。ツイッターなどでは、男性の体臭や酔っ払い、騒音、痴漢など「車内化粧」より糾弾すべきものがあるという意見も相次いだ。その一方で、
「電車内で化粧する女は無理です」
「マナーと明らかな犯罪行為をごちゃ混ぜにしても論点がずれる」
とポスターに賛意を示す声も多い。まさに賛否両論の状況だ。
東急電鉄の公式サイトには、ポスターの動画版も公開されている。座席でメイクにいそしむ女性を見つめ、「みっともな…」とつぶやく主人公の女性。やがて主人公の女性はすっくと立ち上がり、大きな身振り手振りを交えながら車内で踊る。しかし、目の前の女性はメイクに夢中で、まったくダンスに気付かない。そんな様子を切り取った、インパクトの強い動画だ。
そもそもなぜ、「車内化粧」を取り上げたのか。東急電鉄の広報部はJ-CASTニュースの取材に対し、
「『車内化粧』に関わらず、電車内におけるマナー啓発として、ご利用いただいているお客さまのご意見などを踏まえて検討しました」
と説明する。
動画版については、
「マナー啓発ポスター・CMというと、通常お客さまの目に留まらないことが多いため、印象に残り、かつメッセージ性の強い内容を検討しました」
とその制作意図を明かした。
ただ、ネットで「車内化粧篇」への反対意見が出ていることに関しては「回答なし」とした。
なお、同社によると、「車内化粧篇」を含め16年度は8テーマについてのマナー広告を展開する予定だという。