東日本大震災の復興事業、宮城の企業の8割が「評価」

宮城県内の企業の約8割が、政府や自治体による東日本大震災の復興事業を「評価できる」と考えていることが25日、七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の調査で分かった。2020年末の生産水準や売上高が震災前の水準を上回った企業は、新型コロナウイルスの影響もあって38・5%だった。
 復興事業に関して「大いに評価できる」「どちらかと言えば評価できる」は計78・5%で、「どちらかと言えば評価できない」「ほとんど評価できない」の計21・5%を大きく上回った。「どちらとも言えない」の項目は設けていない。
 評価できる理由(複数回答)は「復興事業が大規模・長期間」が50・7%で最多。「被災地の企業活動・雇用を維持」が46・3%、「事業内容が適切」が31・4%で続いた。
 評価できない理由(同)は、沿岸部や建設関係などを念頭に「恩恵が特定地域・産業に偏在」が46・9%で最も多く、「事業の遅れ・スピード感がない」と「景気下支え効果が不十分」がともに34・6%だった。特に沿岸部では、復興事業の遅れを挙げる企業が47・4%で最多だった。
 同社の田口庸友首席エコノミストは「スピード感があれば、もう少し沿岸部の人の流出は抑えられたかもしれない」と指摘する。
 製造業で、生産水準や売上高が震災前を上回った企業は42・2%。このうち津波被災地で盛んな水産加工を含む食料品製造は35・5%で、厳しい状況がうかがえる。非製造業は36・9%だったが、建設業に限ると50・0%と半数に達した。
 田口氏は「建設業は復興需要で息を吹き返したが、徐々に需要は落ちてきた」と説明。さらに「新型コロナがなければ、震災前の水準を上回る企業は全産業で50%前後になっていただろう」と話す。
 調査は20年12月15日~21年1月15日、703社に郵送で実施。回答数は383社(54・5%)。

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