東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県の42市町村で、他の自治体から復興支援のために派遣される新年度の「応援職員」が、今年度より全体で21%減る見込みとわかった。一方、半数以上の23自治体が「復興が進んでも仕事は減らず、職員1人あたりの負担が増えている」とした。被災地の市町村職員の厳しい現状が明らかになった。
朝日新聞が今年1~2月、津波に襲われた沿岸部と、原発事故で避難指示が出された東北3県の42市町村(岩手12市町村、宮城15市町、福島15市町村)にアンケートをした。2012年度、17年度、18年度の全国の自治体からの応援職員数を尋ねた。
震災直後の12年度は計1358人(39市町村)、17年度も同水準の計1353人(37市町村)だったが、18年度は計1072人(同)の見込みだった。18年度に減る見込みの自治体は30に上る。横ばいが6、増加が1、元々応援職員がいないが5だった。
応援職員は、総務省が被災自治体の需要に応じ、全国市長会などを通じて全国の自治体に派遣を求める「総務省スキーム」や、被災自治体の独自のつながりで集められる。総務省スキームと朝日新聞の調査は対象自治体や独自確保分などが異なるが、総務省によると、同省スキームによる市町村への派遣は17年度から大きく減り、前年度比12%減の1330人(38市町村)。確保が難しくなっているとみられ、今年1月時点の派遣数は被災地の要望より210人少ない。この1、2年で市町村職員の負担が大きくなったことが浮かび上がる。
総務省の担当者は「全国の自治体が職員を増やしづらくなっており、派遣が必要な他の被災地もある」と話す。
アンケートで、「復興が進んでも仕事は減らず、職員1人あたりの負担が増えている」と答えた自治体が23。「復興とともに仕事が減り、問題はない」の7を大きく上回った。19自治体が時間外労働について「増えている」と回答。「減っている」の13を上回った。この19自治体に選択式で「多い人で、どのくらいの時間外労働をしているか」を聞くと、時間外労働の「過労死ライン」の一つとされる月100時間を超える「月100~150時間」が8自治体、「月150~200時間」が5自治体だった。(井上充昌)