10月26日午前2時過ぎ、福島県沖を震源にM7.1、最大震度4の地震が発生した。岩手から千葉の太平洋沿岸に津波注意報や避難勧告が発令され、岩手・久慈港と福島・相馬市で40cm、宮城・石巻で30cmの津波を観測した。
未明に発生し、住民に大きな不安と恐怖を与えたこの地震について、気象庁は2011年3月の東日本大震災に誘発された「アウターライズ地震」であるとの見解を示した。「アウターライズ地震」とは何か。琉球大学の木村政昭名誉教授(地震学)が解説する。
「地球は数々のプレート(岩盤)で覆われており、プレート同士の境目は地球内部に沈み込んで『海溝』となります。東日本大震災は、日本海溝で沈み込んだプレートが、その歪みに耐えきれず跳ね上がったことで起きた『プレート境界型地震』と呼ばれるものです。今回福島県沖で起きた地震は、東日本大震災が起きた日本海溝のさらに外側が震源。海側のプレートが強い力で陸側に引っ張られたことで破壊されて起きた地震なのです」
アウターライズ地震は陸地から離れた沖合が震源になるため、陸上で私たちが感じる揺れはそれほど大きくないといわれている。しかし、武蔵野学院大学の島村英紀特任教授(地震学)は、「今後も、震度6程度のアウターライズ地震が起こり得る」と指摘する。
「東日本大震災クラスの巨大地震が発生すると、その余震は100年単位で続きます。発生からまだ2年8か月ですから、アウターライズ地震としては、本震並みの大きな地震がいつ起こってもおかしくない。実際、アメリカでは余震が200年続いたこともあります」
今後も起こるとされるアウターライズ地震。名古屋大学大学院工学研究科の川崎浩司准教授(海岸工学)は、「特に注意すべきは津波」と強調する。
「アウターライズ地震は海の直下が震源となるため、津波が増幅されやすい。揺れの大きさに対して、津波が大きくなりやすいのです」
今回の福島沖地震では、岩手県の8194世帯1万8872人に避難勧告が出たが、実際に避難したのはわずか123人。揺れが小さかった分、避難する人も少なかったと考えられる。これに対し、前出の川崎准教授が警鐘を鳴らす。
「1933年に起きた昭和三陸地震はアウターライズ地震でした。最大震度5を宮城県や福島県で記録しましたが、それに伴う津波は28.7m。死者・行方不明者は3000人といわれています。極端に大きい揺れではないから安心、と勝手に判断することは絶対に禁物です」