「3・11」関連倒産は5年間で1898件-。帝国データバンクが1日発表した東日本大震災の影響で倒産した企業(負債額1000万円以上)の累計は阪神 大震災で倒産した企業の約5倍に達した。同社は「風評被害も含め、関連倒産は今も週2、3件のペースで発生している」と分析した。
倒産の9割は「消費マインドの低下」など間接影響が原因。このため業種別の最多は「サービス業」の417件で、中でも「ホテル・旅館」は116件を占めた。全体のうち、東京電力福島第1原発事故の影響とみられるのは210件。
一方、農林水産省は同日、被災地の農林水産業の復旧状況をまとめた。復旧できた農地は1月時点で74%と前年(70%)からの伸びは小さかった。
とくに、農地の多くが原発事故の避難区域に含まれる福島県は33%。宮城県(88%)など周辺県に比べ、復旧が遅れている実態も改めて浮き彫りになった。
福島は被災農地のうち、南相馬や双葉など6市町の避難指示区域内の農地復旧が前年から進んでいない。今後の避難解除を機に農地の大区画化や先端技術の導 入で農地復旧を急ぐが、「農地の除染が終わってもすぐに営農再開はできないため、復旧に時間がかかる」(農水省)見通しだ。
水産業では被害のあった7道県の計319漁港のうち、73%に当たる233漁港の水揚げ機能が完全に回復。部分的な復旧も含めると97%(311漁港)が水揚げ可能となった。農水省は今月末までに全漁港の全面復旧を目指す。
森山裕農水相は、同日の閣議後会見で「福島県の農産品は風評被害や輸入規制の問題に対し、重点的に取り組んでいくことが大事だ」と述べた。