東日本大震災級地震・津波 宮城の死者最大5498人 冬の夕方発生、県想定

宮城県は22日、甚大な被害が予想される地震4パターンの被害想定を公表した。東日本大震災と同じ規模の地震と津波が冬の夕方に発生した際に被害が最も大きく、県内で5498人が死亡し、全壊・焼失する建物が計7万7612棟に上ると推定。死者の95%超は津波が原因で、早期避難できれば津波の死者を87%減らせると予測した。県は今回の結果を踏まえ、減災対策を強化する。

 マグニチュード(M)9・0の震災級の地震と津波による市区町村別の死者の想定は地図の通り。石巻市が2198人で最多で、気仙沼市の473人、岩沼市の455人、多賀城市の451人、仙台市宮城野区の424人と続いた。

 全壊・焼失する建物は石巻市3万2675棟、気仙沼市8296棟、多賀城市6642棟、東松島市6586棟の順。

 県内の死者のうち、県が5月に公表した最大級の津波浸水想定に基づき計算した津波の死者は5251人。一方、揺れの後すぐに避難を始めれば死者は659人になると見込んだ。

 仙台市直下を走る「長町-利府線断層帯」の地震(M7・5)では、死者を1095人、建物の全壊・焼失を2万3799棟と算出。うち仙台市の死者が976人を占め、被害は仙台圏に集中する結果となった。

 県が22日開いた県防災会議の専門部会で示された。座長の長谷川昭東北大名誉教授(地震学)は「なぜこのような被害になるのか、被害を少なくするためにどうするのか考える必要がある。震災を上回るケースも想定し、対策を打たなければ大きな被害につながる」と指摘した。

 県によると、震災の死者数(直接死)は9639人、行方不明者は1215人(9月30日現在)。震災の人的被害を大幅に下回る被害想定について、県防災推進課は「震災後に沿岸部から内陸部に人口が移り、防潮堤が整備されたことなどを踏まえた」と説明した。

 被害想定の概要は県防災推進課のホームページに掲載された。来年2月、4パターンの地震別にライフラインやインフラ、経済の被害想定、被災直後から数カ月後の災害シナリオをまとめる。

タイトルとURLをコピーしました