松島観光の発展つなごう 津波で流失、渡月橋復活

 東日本大震災の津波で流失し、復旧工事が進められていた宮城県松島町の渡月橋が完成し、1日、安全祈願祭と渡り初めがあった。日本三景として知られる松島で、歌枕の地として人気が高い雄島を結ぶ。関係者は松島観光の目玉として、復活を歓迎した。
 渡月橋は長さ約23メートル、幅3.3メートル。流失前は手すりなどが木造だったが、全体が鉄筋コンクリート製となった。手すりの表面を木製素材で覆い、朱塗りにして従来の雰囲気を残した。
 瑞巌寺の吉田道彦住職ら僧侶6人が安全を祈願した後、大橋健男松島町長ら町関係者ら約50人が橋の渡り初めをした。
 霊場松島の象徴といわれる雄島は、古くから僧侶の修行の地で、五輪塔のある岩窟や数多くの石仏のほか、松尾芭蕉の句碑などもある。
 当初は、4~6月の大型観光宣伝「仙台宮城デスティネーションキャンペーン(DC)」直前の3月末に工事終了の予定だったが、大幅に工期が延び、開通はDC終了の翌日となった。
 松島観光協会の佐藤久一郎会長は「DC後の新たなステップとして、夏の観光シーズンに雄島を訪れてもらうよう、力を尽くしたい」と話す。
 渡月橋の復旧工事は昨年10月に着工。宮城県によると、重機を入れるため付近の海を埋め立てる土砂の運搬トラックが不足し、工期が延びた。事業費は約6000万円。

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