松本城の観光客数、外国人が過去最多に 円安も追い風

 国宝松本城(松本市)の外国人観光客の入場者数が好調だ。本年度の本丸庭園への入場者数(十一月末現在)は、前年度同期から24%増の六万一千五十三人となり、過去最多になる見通し。入場者全体に占める割合も年々上昇して10・3%に。円安や東南アジア諸国へのビザ発給要件緩和などが追い風になっているほか、市などの誘致活動も功を奏しているようだ。
 市松本城管理事務所によると、今年十一月末現在の外国人入場者はアジア系が三万四千百二十一人、欧米系が二万六千九百三十二人。全体の入場者は減少傾向にある中、二〇一三年度までの三年間は右肩上がりの状況だ。特に東南アジアや欧米からの入場者が増えているという。
 背景には、東南アジアや欧米諸国の観光客をターゲットにしたあの手この手の誘致活動がある。市観光温泉課は「欧米や東南アジアの人たちは、伝統文化や自然などを幅広く楽しむ傾向がある」と分析する。
 そこで市は、金沢市や岐阜県白川村と連携し、兼六園や白川郷などを巡る「国際観光ルート」を提案。共同で旅行会社や報道機関の関係者を招き、魅力を紹介。松本観光コンベンション協会も東南アジアや豪州での営業活動を強化している。
 県の調査では、松本市内に宿泊した昨年の外国人観光客は、前年から73%増えて五万一千八百二十人。市商工観光部の寺沢健部長は「外国への観光PRがじわじわと浸透している」とみる。
 松本城の隣にある大手門駐車場を利用する外国人団体客の観光バス台数も、本年度は過去最多になる見込みだ。
 市松本城管理事務所の土屋彰司所長は「来年はサッカーの松本山雅がJ1に昇格して全国区になり、善光寺のご開帳もある。松本城を訪れる国内客も増えるのではないだろうか」と期待している。

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