仙台市青葉区の社会福祉法人グラディーレの理事長(64)による不適切会計疑惑で、同法人の資金約1700万円が架空取引を介して理事長側に流出していたことが29日、関係者への取材で分かった。
資金の入出金に関わった複数の関係者によると、高齢者施設を運営するグラディーレは2021年7月から23年3月にかけ、人材派遣や施設内消毒、ワックス清掃などの名目で、埼玉県と群馬県にある3社に計1695万円を支払った。取引は大半が架空だった。一部は実際に納品されたが、過大な料金を支払った。
登記簿によると、支払先の3社は、理事長が社長を務める別の会社の社員が代表者になっていた。資金を流出させるための「トンネル会社」として機能していたとみられ、資金は3社から、理事長個人や理事長が別に経営する有料老人ホームにコンサルタント料名目などで流用されたという。
関係者の1人は「全て理事長の指示で行った。実務はトンネル会社の代表が取り仕切っていた」と打ち明けた。
グラディーレは仙台市で18年10月から特別養護老人ホーム(100床)などを運営し、23年度は国、宮城県、市から計約4500万円の補助金を得ている。
理事長は21~23年にかけ、勤務実態がないにもかかわらず1650万円の報酬を得た疑いがもたれている。理事長が関連する群馬県桐生市の社会福祉法人は、数億円に上るとみられる不適切会計が見つかり、群馬県が特別監査を続けている。
グラディーレの担当者は「何も答えられない」と述べ、理事長への取材にも「回答できない」としている。