「民事紛争相談センター」「民事訴訟管理センター」といったうその団体をかたった架空請求はがきを巡る相談が4月以降、宮城県内で急増している。県警によると、民事訴訟を取り下げる手続きをしないと裁判が始まると脅し、はがきの電話番号に連絡するよう要求、現金をだまし取る手口だ。県警は「おかしいと思ったら警察に相談を」と注意を呼び掛けている。
県警によると、はがきは民事訴訟最終通告書などと題したものがほとんど。「総合消費料金」の不払いがあるため民事裁判が始まるとし、訴訟を取り下げる手続きを促す内容だ。
塩釜市の70代男性方に5月中旬、同様の架空請求はがきが届いた。記載の番号に電話すると、男から訴訟を取り下げるため、コンビニエンスストアの収納代行サービスで現金を振り込むように指示され、5万円をだまし取られたという。
はがきには「強制執行」や「債権譲渡」といった公文書で使われる用語が並ぶ。政府の紋章として使われる桐紋(きりもん)を印刷するなど手が込んでいる。はがきが届いて数日後に「訴訟取り下げ最終期日」が設定されている場合が多いという。
県警に寄せられた架空請求はがきに関する相談は4月が約1000件、5月約1300件。3月の約270件と比べ4~5倍に増えた。
県警によると、類似のはがきを使った架空請求は全国的に被害報告があり、一部地域に一定期間、集中的に届く傾向がある。一度現金を振り込むと、その後も繰り返し現金を要求されるという。
県警幹部は「公的機関が訴訟取り下げの手続きを促す通知をはがきで出すことはない。はがきが届いたら詐欺グループのものと考え、警察に相談してほしい」と話す。