栃木県ブランドのナシ「にっこり」の、今年度の海外輸出量が昨年の倍を超える5・7トンに達した。丸くて黄色いという容姿が風水にマッチ。「金運を招く果物」として、香港の高級食材売り場で大人気なのだという。栃木県では「来年度は台湾輸出も考えたい」とニッコリ。風水が盛んなアジア各地への大攻勢を考えている。(赤堀正卓)
栃木県経済流通課によると、にっこりの輸出を始めたのは04年度から。「日持ちがする果物なので、海外にも市場を広げたかった」という単純な理由だった。輸出量も1・3トンに過ぎなかった。
それが「幸運を招く果物」と香港で話題になり、昨年度は当初の倍の2・7トンに伸びた。今年度は6トンに迫る勢いという。
「香港のデパートの高級素材売り場で、『金運の果物』として売りにだされているようだ」と県経済流通課。
(1)風水で「黄色」が「金運を招く色」とされている、(2)大きな丸い形が縁起がいい、(3)日持ちがするので旧正月(今年は2月18日)の贈答品として使える-ことが、人気の原因となっているようだ。
香港での値段は、日本の倍から2・5倍の、1個1500円から2000円。2個セットで売られているという。
にっこりは、栃木県農業試験場で開発され、96年に品種登録された栃木県限定の新しいナシ。「豊水」と「新高」を交配している。
出荷時期は10月からと、それまでのナシと比べて遅めで、県全体では年500トンほど生産されている。とろける甘さが特徴で、冷蔵庫で保管すれば3~4月まで保存が可能。大きさは1つ平均800グラムと、通常のナシの2~3倍、幼児の顔くらいの大きさがある。
名前のにっこりは、観光地「日光」と、梨の読みである「リ」を語呂合わせした。
すでに少数ながら、台湾、シンガポールにも輸出実績がある。県経済流通課では「まさか風水が市場拡大の原因になるとは思わなかったが、うれしいこと」と、来年からは台湾への本格出荷を考えている。
最終更新:3月20日8時33分
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