栗原市、除染モデル実証試験開始 県内重点調査地域で初

 放射性物質汚染対処特別措置法に基づく「汚染状況重点調査地域」に指定されている宮城県栗原市は3日、同市栗駒の鳥矢崎幼稚園で除染モデル実証試験を始めた。同市の除染実施計画に対する環境省の正式承認はまだだが、実施計画案にのっとった除染は県内で初めて。
 同幼稚園は、空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルト超だったため除染を実施。市の放射線対策アドバイザーを務める石井慶造東北大大学院工学研究科教授の指導を受けて園庭と、隣接する土手計1000平方メートル弱を対象に作業した。市の委託業者がくわやスコップなどを使い、厚さ5~10ミリの表層の土砂を丁寧に取り除いた。
 初日は降雨のため園庭の半分で終了。その結果、実施前に毎時0.24マイクロシーベルトだったブランコ付近が0.15マイクロシーベルトまで下がった。4日以降も残った園庭や土手の除染を続ける。
 除染に当たっては、作業員の安全確認のため空中に浮遊する放射性物質の濃度を調べる捕集装置も使った。発生した除去土壌は、隣接する鳥矢崎小北側の市有地に埋設して保管。周囲には立ち入り禁止のロープを張る方針。
 石井教授は「放射性物質はコケや草に保持されているので、うまくはぎ取れば効率良く除染でき、家庭でも参考になるはずだ。土手は線量が高く園庭への影響も考えられるので、土手の除染効果を調べるのが今後のポイント」と話した。
 栗原市は738カ所の測定対象個所のうち、4割弱の292カ所で計測を終了。月内に全ての測定を終え、2年間かけて毎時0.23マイクロシーベルトを超えた場所での除染を行う。
 佐藤勇市長は「他地域の除染活動の参考になるよう、しっかり効果を出したい」と話している。

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