7日の日経平均株価は、前日比900円を超えて下落した後、日銀幹部の発言をきっかけに1100円以上、急上昇する荒い値動きとなった。5日に史上最大の下落幅、6日には史上最大の上昇幅を記録しており、歴史的な乱高下が続く。急激な変動の背景には(1)「人工知能(AI)ブーム」の反動(2)レバレッジ(てこ)型と呼ばれる金融商品の取引拡大(3)個人の信用取引―の3要因による値動きの増幅があると市場関係者は指摘している。
昨年秋以降、株価の上昇をけん引してきたAI関連株の高騰には「行き過ぎだった」(銀行系証券)との見方が多い。AI利用で半導体需要は伸びるものの、「半導体は市況の波が大きく、常に利益が出るわけではない」(同)のも事実だ。過剰な期待の剥落が急落を招き、「投資家は株価の居所を見失った状態」(大手証券)となった。
最近は、日経平均など株価指数の値動きの数倍変動する「レバレッジ型の上場投資信託(ETF)の売買も変動の一因になっている」(中堅証券)という。同ETFは個人投資家らの人気を集め、売買代金ランキング上位の常連になっている。このETFの運用には先物取引が使われており、取引が活発になると、先物の売買も増えて相場の動きが増幅される。
個人による信用取引の増加も株価の下げ方をきつくした。お金を借りて株を買う「信用買い」の残高は、7月26日時点で約5兆円と、2006年以来の高水準に積み上がっていた。「予想外に急速な株安で担保不足に陥った個人が手じまい売りを迫られた」(同)ことで、株価の下落ペースが加速したとみられる。