桑田 宮城ライブ 自分も“復興”の熱唱!

 サザンオールスターズの桑田佳祐(55)が10、11の2日間、宮城県利府町の宮城セキスイハイムスーパーアリーナで「宮城ライブ~明日へのマーチ!!~」を行い、27曲約2時間半のステージで、両日で約1万6000人のファンに完全復活をアピール。被災地への愛に満ちたステージで、うちひしがれた人々に大きな勇気をもたらした。
 東日本大震災から半年。午後2時46分、地震発生の時刻に、場内アナウンスを合図にリハーサル中の桑田をはじめスタッフ、会場周辺にいたファンが黙とうをささげ、本番に臨んだ。食道がんの手術から1年1カ月。自らの復活と被災地の復興への思いを込めたライブは、何と「青葉城恋唄」で始まった。桑田が、企画性のあるコンサート以外で、他人の曲でスタートさせたのはデビュー以来初めて。早くも総立ちのファンから大きな拍手が湧き起こった。
 「故郷仙台へ帰って参りました。ありがとう」。いつものおちゃらけトークで笑顔を見せた桑田。「私自身もいろいろありまして、皆さんのご声援を一身に受けまして帰ってくることができました」と復帰を報告。そしてステージでも、ファンとともに約20秒間、黙とうをささげた。
 2曲目からは文字通りエンジン全開。「大阪レディ・ブルース」を替え歌にした「宮城レディ・ブルース」には、大崎八幡宮、八木山ベニーランドなど仙台市内の名所を入れ込み「気仙沼ビューティフル 石巻ワンダフル」と歌い上げた。さらには宮城の民謡「大漁歌いこみ」を歌うサービスも。
 途中のトークでは、食道がんのことを「キャンサー・オブ・ザ・キッチン」と言って笑わせ、「去年手術して、ここにこうして立っていることが信じられないんですけど、ちゃんと生きてますから、歌ってますから」と体調を心配するファンに直接語りかけた。
 さらに「自分の復興もままならないのに、おこがましいんじゃないかと思ったんですが、今日のテーマは“私といっしょに元気になろうぜの会”」と語りかけ、次々と曲を繰り出した。中盤、中央のステージに移動すると、妻の原由子(54)が登場。ギター一本で「栞のテーマ」など3曲をデュエットして喜ばせた。
 昨年3月13日の日本武道館以来となる復帰後初の本格ライブは、ブランクを全く感じさせず、桑田自身が実に心地よさそう。最新シングル「明日へのマーチ」で希望を歌い、アンコールでは、この日のために書き下ろした「約束」の一節で、「泣きたいことは誰にもあるだろう また逢う日まで 元気でいてね」と励ましをこめた。さらには「東北の街を愛する人に 空も海も 心はすべてつながっている」と替え歌にした「祭りのあと」。「来てくれて ありがとう」と書かれたファンのプラカードがスクリーンに大写しになった。
 「震災から半年たって緊張感が薄れてる感じがあったんですけど、みんなの顔を見て、また再スタートを切れます。心から感謝します。また帰ってくるからね。あきらめないで何事も、無理しないで何もかも、人生を楽しんでいきましょう」と呼び掛け、会場が一体となった「希望の轍」で大フィナーレ。一時は遺体安置所に使われた会場には、復活と復興、2つの思いが重なる濃密な2時間半が流れた。

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