梅酒の人気、世界で拡大

梅酒の人気が世界で高まっている。日本食に合う飲み物として需要が拡大。梅の産地・近畿では中小の酒造会社も海外進出を強化している。日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)大枠合意を受けて日本酒などの輸出機運が高まる中、梅酒は国際展開の先駆者としても注目される。(栗井裕美子)

輸出額は5年で2倍以上

奈良県葛城市の「梅乃宿酒造」では、奈良県産の梅のみを使用して梅酒を生産。6月下旬に行われた仕込み作業では、タンクに浸された大量の梅が爽やかな香りを漂わせた。

梅酒は、蒸留酒に果物や薬草などを漬け込み、砂糖やシロップを加えたリキュール。海外での人気上昇の理由について、吉田佳代社長は「清酒や焼酎に比べて分かりやすい味」と話す。同社は12年前から梅酒を輸出し、現在は14カ国・地域に展開。海外向け出荷量は梅酒全体の約1割を占める。

国税庁によると、梅酒などリキュール類の輸出額は平成23年の18億4千万円から、28年には42億1千万円へと2倍以上に伸びた。台湾、香港、米国などが多い。

吉田社長は「和食の人気が高まる中、日本食には日本のお酒を合わせようというニーズが高まっている」と指摘する。日本酒やワインはEU、米国などで関税が課され、日欧EPAの交渉品目にもなったが、リキュール類は関税ゼロで輸出できることも追い風だ。

国際品評会で連続「金賞」

専門家の評価も高い。梅酒最大手のチョーヤ梅酒(大阪府羽曳野市)は約70カ国・地域で梅酒を販売。食品・生活用品の国際コンテスト「モンド・セレクション」で今年まで5年連続で最高金賞、英国の酒類品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」でも2年連続で金賞を受賞した。いずれも和歌山、奈良など国内産の梅を100%使用している。

金銅(こんどう)俊二専務は「少しずつ海外市場を開拓してきた成果。世界でブランドの確立を目指す」と意気込んでいる。

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