東日本大震災で被害を受けた沿岸部や丘陵部の復旧・復興策を、地盤技術の視点から探るシンポジウムが1日、仙台市内で開かれた。地盤工学会東北支部(支部長・飛田善雄東北学院大教授)の主催で、研究者や市民ら約350人が参加した。
総括報告で宮城県の海岸林の被災状況を調査した宮城豊彦東北学院大教授(地形学)は、森林による一定の津波減衰力が確認された一方、抜けたり折れたりして流木となり、集落を襲った事例を紹介した。
流木の原因として津波だけでなく、震動と地下水上昇による地盤の沈降や液状化の影響も指摘。「海岸林の残存状況は、地盤が50センチから1メートル程度高いだけで大きな違いが出た。1~2メートルの盛り土で、流木防止にかなりの効果がある」と述べた。
丘陵部の宅地被害では、森友宏東北大助教(地盤工学)が宮城県の実態を発表。造成年代との関連に着目し、現行の都市計画法で宅地開発が許可制になった1968年以降の造成地では、全半壊家屋が少なかったことを報告した。岩手、福島両県の被災宅地の事例や復旧策などの解説もあった。