植物は気温6週間記憶し開花調整 京大解明、農業効率化に期待

 植物の遺伝子を解析することで開花時期を予測できる統計モデルを、京都大学の工藤洋教授(植物生態学)らの研究チームが世界で初めて開発し、8日付(日本時間)の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
 開花時期を科学的に解明したことで、農作物の効率的な栽培などへの応用が期待されるという。
 これまで、植物には一定期間の気温の変動を記憶し、開花を抑制する遺伝子があることは判明していたが、具体的な仕組みは解明されていなかった。
 そこで研究チームは、2年間に渡ってアブラナ科のハクサンハタザオを観測。気温と同遺伝子の働きを測定し、同遺伝子が気温を記憶する期間を表す統計モデルを作り、さまざまな数値を当てはめて試算した。
 この結果、同遺伝子が6週間の気温を記憶し、期間内に気温10.5度以下となった時間の合計数値が増えるにつれ、同遺伝子の機能が抑制されることがわかった。
 工藤教授は、同様の統計モデルを使って調べれば、理論上はすべての植物の開花システムを解明できるとした上で、「農業生態系の理解につながり、食料の安定供給が期待できる」としている。

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